
学生時代に川越市に4年間住んだことは前編にも書いた。私の下宿から学校まではおよそ6km、自転車やオートバイで通学していた。途中には入間川があり川越橋という沈下橋(流れ橋)を渡っていた。沈下橋は堤防の外側にあって川面に近い。橋を渡るには、まず堤防を上り下り、橋を渡り、また堤防を上り下りするという儀式のような道のりが必要でわずらわしい。だがその儀式が気に入っていてあえてそのルートを通っていたのだ。
川越橋の橋桁は木造で、台風などで増水すると流される構造だった。いわゆる「流れ橋」である。ひと夏に2回流されたこともあって、補正予算が必要だったのか復旧に時間がかかったこともあった。そういう不便だったところもいまとなっては良い思い出だ。
埼玉を離れてだいぶ年月も経ち、久しぶりに川越を訪れてみたら思い出の川越橋は抜水橋に掛け替わっていた。そういえば荒川水系の支流にはほかにもたくさんの沈下橋があり、それは私が現在住んでいる群馬県にはあまり見られない風景なのだ。
そこで2023年ごろから集中して荒川水系の川を訪ねてみることにした。地図でおおよそ黄色で示した範囲になる。訪問した順番ではなく、河川ごとに下流から上流に向かって記事を並べることにする。