
もう夕暮れ時だけど、
車幅制限1.9mの狭い木造橋だが、取付け道路はセンターラインもあり交通量が多い。

というのも、この道の先には城西大学、城西短大、明海大学歯学部と附属大学病院、日本医療科学大学と東武越生線の川角駅があり、多和目地区から大学と駅へ行く唯一の道なのだ。

大学は高麗川の左岸にあるのだが、大学の駐車場やスポーツグランド右岸にあるため、橋を歩いて渡っている学生も多い。

橋の実際の幅員は3.6m、橋長は99mある。橋桁はコンクリート、橋桁はH鋼。橋床は木造。歩道はない。
近代的な建物の大学のすぐ横にこんな時代がかった橋が残っているというのがびっくりだ。

橋の両端には強固な車止めがあって恐ろしいが、幅は十分にあるので、3ナンバー車やワンボックスカーでも通行できる。
ただし橋上は離合できないから、対向車が進入していないかよく確認して譲り合わなければならない。

橋台は昭和25年竣工となっているが、橋の主要部分が木造なので何度も架け替えられているだろう。最期に架け替えたのは2011年のようだ。

橋は増水したら容易に水がのるが、沈下橋というべきなのかどうか微妙だ。橋桁を流出できる造りにもなっていないし、欄干はボルトで留められているので増水時に取り外すこともできない。もし橋桁まで水が来たら欄干にゴミが詰まって橋は圧壊すると思われる。
でも2019年の台風19号では被害がなかったようだ。川幅が広く流れが穏やかだったためか、あるいは単に豪雨地域から外れたための偶然だったのか。
写真のゴミは台風19号のものかもしれない。

しっかりした橋で木造橋としての不安感はないが、自動車が通るとゴトゴトと音がする。
この音が橋の記憶として残る。

四輪車が離合できないというのが不便なのでいずれは抜水橋に架け替わるだろう。ひとつ下流の森戸橋も離合できなかったが2020年に架け替えられているからだ。
この橋がまだ木造のまま残っているのは高水敷が広いからか。水害に強い橋を造るには高水敷の取付け道路ごと高くする必要があり、橋長はいまの4倍ほどの大工事になると思われる。

こうした懐かしい風景が見られるのもあと10年もないかもしれない。

橋の下流側の様子。
下流側に頭首工があるので、水面が広い。

橋上から見た上流側の様子。
左岸の崖線は鬱蒼とした森で、それが水面まで続いているので野趣にあふれる風景を作り出している。

この森の中には薄暗いような細道があって、大学の敷地の外周を歩ける。
もっともこんなさびしいところを歩く大学生なんていないんだろうな。

左岸は完全に学生の町。
ちょっと場違いな自分を感じてしまい、おどおどと引き返した。

自分がここの学生だったらどんな学生生活を送っただろう・・・
合コンで知りあった隣りの大学の彼女ができて、いつもこの橋のたもとで待ち合わせたりしただろうか・・・
それで、周りからもお似合いのカップルと言われていたのに実は彼女の本命は自分の親友で、ひそかに彼らが付き合っていることが発覚。何も信じられなくなって、じっと息だけしているうち4年間過ぎていたみたいな?そんな感じかな?

もしかしたらそんな青春があったかもしれないと想像してしまうので、学生街は少し苦手なのだ。
(2022年11月02日訪問)