市野川の背割堤

河川の合流をスムースにするための突堤。

(埼玉県川島町芝沼)

前ページまでで、市野川と荒川の合流地について見てきた。

この場所を衛星写真で見ると、次のようになっている。

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写真左側から流れてくる市野川が、まるで高速道路の流入路のようにスムースに荒川に合流している。だがこの風景は自然のあるがままの姿ではない。そもそも平野部で河川は蛇行が本来で、まっすぐ流れているのは治水の結果なのだ。かつては蛇行する川同士が、良からぬ角度で合流していて、そのせいで合流地点では水害が頻発してきた。

それを人間が直線化し、合流する角度も浅い角度で合流するように作り替えたのだ。

このとき、2つの河川がいきなり合流しないように川同士をへだてるのが背割堤(せわりてい)である。背割堤は横堤と同じように先端が切れている突堤の構造をしている。

この市野川の背割堤を見ていこう。

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背割堤は大規模な施設なので、地表の写真だけだと何なのかわかりにくい。空中写真をまじえつつ上流側から見ていく。

ここは上流側、背割堤が始まっている地点だ。

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地表だとこんな感じ。

背割堤の始まりはT字路になっている。

写真で右奥へ伸びているのが背割堤。

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市野川の背割堤は一部、堤防の上が車道になっている。

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背割堤の下流側。

中央を横切っている黄色く見えるのが背割堤。

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背割堤の突端部。

突端は河原にあるのではなく、農地の中にある。

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田んぼの中に唐突に堤防があるのが不思議な感じだ。

(2022年12月16日訪問)