湧き水だけでなく、お寺のほうも見ていこう。

石段を登ると墓地になっている。

お寺の墓地は寺の横や裏の土地にある場合が多いが、こちらのお寺は参道が墓地の中に続いている。

境内には印象的な2本のイチョウがある。

山門は袖塀付きの薬医門。

正面に本堂。

本堂の右側に庫裏。

本尊は阿弥陀三尊仏。

厨子が開いているので遠目に拝むことができる。

本堂前には板碑があり、保護の覆屋がついている。

埼玉に多い緑泥片岩の板碑だ。

もともとはこの場所から400mほど北にあったらしい。

この土地の地名は「正代(しょうだい)」というが、平安～鎌倉時代にここには「小代(しょうだい)氏」という武将がいて、この寺がその館跡と考えられている。小代氏は源頼朝が平家と戦った際に名を揚げ、さらに鎌倉時代に武勲を上げて肥後国（現在の熊本県）に領地を得て地頭となった。

しかし蒙古の襲来から領地を守るために一族をあげて熊本に移住してこの地を去ったという経緯がこの碑には書かれているという。

大相撲に正代(しょうだい)という力士がいる。熊本出身でしこ名は本名のままだが、この小代氏の末裔なのだという。

その本名の発祥の地がこの土地なのだ。

板碑の横には宝篋印塔、閼伽井屋、鎮守社がある。

鎮守社の内部。

境内からは低地の水田が見渡せる。

小代氏の館からの景観もあまり変わらなかっただろう。