
入間川にはたくさんの頭首工があり、それぞれに一点モノの施設だ。好き嫌いせず見ていけばそれなりに楽しいのじゃないかと思っているが、いまのところ私は歩いて渡れそうな堰を中心に見ている。
上奥富堰は寺山堰から上流に数えて3つ目の堰。航空写真を見たら堰堤上が平らで、上を歩けそうだったので来てみた。

近くに駐車場や公園がありアクセスは容易なのだが、柵があって堰堤には近づけなかった。公園が近すぎて、幼児がいつのまにかいなくなって川に落ちてた、なんてことがないように柵があるのだろう。
「入ったら即警察に通報!」って雰囲気でもなく、釣り人などはどこか別の場所から川に入ればよさそう。

堰堤上は歩けそうだけど、柵を乗り越えるのは気が進まなかったので岸から見るだけにしておく。
巨大な堰なので遠くのほうはドローンで撮影しようかと思ったら、この上空は入間基地の滑走路への進入コースなのでドローンは使用できなかった・・・。

水量があるときは堰の全体から越流するため狭山のナイアガラなどと呼ばれているようだ。
堰の本体は工事用のシートパイルみたいなもので作られている。魚はおろか、脚のあるカニ、エビ、水生昆虫など含めてあらゆる水棲生物がここを越えるのは不可能だろう。生きものにとってはかなり凶悪な堰といえる。

右岸には用水の取水口がある。

上奥富用水とでも言う名前かな?

堰の上流側。
広い湖のような静かな水面。
水鳥が驚いて飛び立っていった。

ドローンが使えず、堰の全体がよくわからなかったので川の対岸の左岸へ移動。
GoogleMapsの航空写真を見ると堰堤のすぐ横に車が止まっているので簡単に行けると思って来てみたら道路が封鎖されていた。ゴミの投機をする者がいたらしい。
少し歩くことになるけれど行くか。面倒くさいな。

藪の中を進んでいるので堰の近くまで来ているのかよくわからない・・・。
でも川のほうへ向かう踏み分け道があったので入ってみた。

うまく堰の左岸に出た。

左岸には旧流路の上流が閉じた巨大なワンドみたいなよどみがある。
かなり野性的な場所。

そのワンドの部分に魚道がつながっているが、渇水期のためかまったく水が流れていない。
魚道の形式はハーフコーン式。魚道の幅は人がジャンプで越えられるくらい。

私は専門外だけど、こうした魚道って堰よりかなり下流で水を吐いているから、本流を登ってきた魚は堰の直下に集まるばかりで、いったん下って別の細いルートに入り直すなんてことができるんだろうか。
確率的にはいくらかの魚は偶然このルートに入るかもしれないけれど。
それでも水がなければどうしようもない。最も低水位のときには魚道だけに水が流れるようにすべきなのでは?

現在、入間川の水のほとんどが右岸の用水路に取水されていて、本流はほぼ瀬切れ状態。
砂吐きゲートのところの漏水が唯一の越流水だった。

歩いて堰を渡るにはこの砂吐きが唯一の障害となる。ジャンプできる幅ではない。
堰板に厚みがあるので上をバランス良く歩くことができそうなのだが、材木が腐ってぐずぐずなので、改修されるまでは無理だな。

きょうならば越流水が少ないので、水に濡れてもいい履物があれば砂吐きの下の平らなところを歩けるが、川に水量があるときはどのみちダメだろう。
そもそも右岸には柵があるし、基本的に歩ける堰とはいえなそうだ。
(2025年08月25日訪問)