
高麗神社へ向かう「カワセミ街道」と呼ばれる観光道路。その途中に屋根に覆われたコンクリートの橋梁が道路を跨いでいる。
ほとんどの人は水道橋か何かかなと思いつつ通り過ぎているのではないかと思う。
これはセメント工場へ原料を運ぶ現役のベルトコンベアなのだ。

このベルトコンベアは地下部分が多いのだが、高麗川を渡る部分で高低差の関係でわずかに地表に露出している。

その全容は国土地理院の地形図を見るとトンネルとして記載されているのでわかる。
起点は秩父の武甲山で、日高市の太平洋セメント埼玉工場まで通じている。日々、人知れずこの中を石灰石が運搬されているのだ。その長さは23.4kmもあり、地下トンネルのベルトコンベアとしては日本一の長さだという。所有する会社のサイトによればYルートと呼ばれているようだ。
私は鉱山には詳しいわけではないけれどベルトコンベアについては、以前に秋吉台で見た鉄橋や埠頭を紹介しているし、徳島では橘鉱山の物件を見てきたので多少は気になってしまう。このベルトコンベアは高麗川上流部でも地上に出ている場所があるから、いずれは見に行きたいと思っている。

きょうのところはまず高麗川での露出部分を見てみよう。

コンベアは側の山の斜面からゆっくりと地表に出ている。屋根が載っているので、上から見ても中がどうなっているのかはまったくわからない。

その先はまた地下になっているが、地表部分は会社の私有地で人家などはない。
ベルトコンベアの地表は基本的には立入禁止だが、隣接する畑を持っている人は通行できるという。

セメント工場は市内の茶畑が拡がる田園地帯にあるのだが、周囲の住宅と工場の設備のスケール感があまりにも違うので現実の風景とは思えない。
工場萌えのジャンルで見ても見ごたえのある場所ではないだろうか。

(2025年09月11日訪問)