
JR行田駅付近の荒川左岸堤防。
堤防に沿ったところにライオンズマンションがある。日当たり、眺望もよく、家の前でジョギングやサイクリングも楽しめる好立地のマンションだ。
このすぐ近くの場所で、昭和22年(1947)のカスリーン台風によって堤防が決壊した。

その近くには決壊の記憶を残すための碑が立てられている。

碑の横には郷土かるたの読み札「洪水の怖さ伝える決壊碑」とある。これ、おそらく『久下・太井郷土かるた』だと思う。

当時の様子が詳細に書かれた案内板。
中々ここまで細かい案内板はないよ。とてもわかりやすい。

カスリーン台風の被害ってすごくて、旧荒川、旧利根川の地域で相当な広い範囲が2m以上の水深となっている。さらに図のうす水色の部分を見るとわかるが、群馬県東部のほぼ全体が浸水しているのがわかる。もちろん全ての家が床上浸水したわけではないが、わずかな高低差で低地の家には被害が出たのだろう。

国土地理院のサイトでこの場所の昭和22年の空中写真を見てみる。
破堤箇所に落堀が生まれているのがわかる。河川側に一時的に仮設の堤防が造られた。

現在は落堀は完全に埋め立てられ、その上に新しい堤防が築かれている。

ただし、落堀側は堤防がかなり分厚くなっている。高水時に地下水がくぐり抜ける可能性を考えているのかもしれない。
現代の堤防修復の跡にはこうした膨らみがあって、公園やヘリポートなどの施設が造られていることが多い。
この場所は災害用の資材置き場になっている。

決壊箇所を上流から見る。

消波ブロックがたくさん備蓄されていた。

決壊箇所を下流側から見たところ。
現在、落堀があった場所は何らかの再開発が進行している。JR行田駅から近い土地なので、農業振興地域の指定が外され、ニュータウンにでもなるのか。
(2025年06月19日訪問)