富士見櫓

川越城の実質的な天守台。富士塚と言えなくもない。

(埼玉県川越市郭町)

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川越城のなわばり図。川越城は平山城だが本丸には大きな屋敷があるだけで天守閣はなかった。

だが点線の○部分の4ヶ所に(やぐら)があったようだ。

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そのうち富士見櫓は城内で特に高い場所にあり、実質的にはここが天守閣といってもいいだろう。町を見渡す川越城のシンボルだったと思われる。

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建物は無くなっているが、天守台は現存しているので行ってみた。

初雁球場のあたりから歩いても大した距離ではないけれど、富士見櫓跡にも無料駐車場があるので車で移動してもいい。

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天守台の周りは濠だったが、すべて埋め立てられている。

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文化財の案内。

櫓は幕末に計測された記録があり、高さ15m、間口14mだったとされている。数字だけからすると弘前城の天守閣と同等の規模であり、3重3階、もしくは、2重3階で、天守閣っぽい規模の大きな櫓だったろうと推測される。

ただし古絵図では2重で描かれているので、最近では2重という説が有力なようだ。

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天守台には登ることができる。

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けっこう険しい。

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中腹からさらに一段階高い場所があり、ここがに櫓があったのだろう。

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頂上は平らに整地されていた。

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クスノキが茂っていて、もう外側から天守台の形状は見えない。明治以後に生えた樹だと思うが、もうこんなに大きくなるんだ・・・。

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天守台の東側には神社が建てられている。

明治維新後にできたのか。

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右側の赤い屋根が浅間社。奥の白っぽい屋根が御嶽神社である。

浅間神社が建てられたってことは、ここは天守台再利用の富士塚と言えなくもない。埼玉の富士塚で立派なやつはだいたいが古墳再利用なので、天守台再利用があってもいいと思うの。

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水盤舎。

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御岳神社拝殿。

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本殿は覆屋で見えなかった。

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さらに天守台の北側に回り込むような細道があり、富士見稲荷神社へ通じている。

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入口には見上げるような位置にキツネがいて、周囲のうす暗さと相まってオドロオドロしい雰囲気。

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参道は天守台を巻くように北側に続いていて、石段が下りになる。

下り宮ってことでいい?

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稲荷社の前はコンクリのタタキになっていて、そこで道は終わっていた。

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歴代神使の収納庫みたいなのがある。

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まだ空きがあるけれど、いずれここがキツネでいっぱいになる日がくるのだろう。

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稲荷社の本体は溶岩で出来た築山の上に祀られている。

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現役のキツネ。

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祠の横をさらに降りることができるがすぐに行き止まりだった。

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ここにはキツネ奉納所がある。

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さらに、キツネが出入りしそうなトンネル。

胎内潜りではない。たまに稲荷神社にあるよね、こういうキツネの出入口みたいな穴。

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帰路は往路とは違うルートで降りられる。

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こちらは女坂のような感じ。

富士見櫓跡は、城跡を見てきたというより、富士塚を見てきたという印象が強く残った。

(2025年08月31日訪問)