
富士浅間神社。
仙波愛宕神社と対をなす神社で、境内には富士塚がある。こちらの富士塚を「母塚」、仙波愛宕神社の塚を「父塚」と呼び、両参りの風習があるという。
専用駐車場はないが、鳥居の前の残余地に1台は駐車できる。駐車場のある仙波愛宕神社からは300mほど歩くことになる。

台地上の平坦な境内に唐突に大型富士塚があるので、いかにも「富士山」という感じがある。
ただし円墳の再利用。古墳としての名前は「浅間神社古墳」。
登山路は単調で正面に階段の男坂、右側に傾斜のゆるい女坂がある。

塚の左側には富士見町公民館。
たぶん社務所も兼ねているだろう。

古墳に関するの説明版。
石室についての記述はない。横穴式石室だと思うが、正面の石段の造営で埋められてしまったのではないだろうか。
かつて周囲は古墳群だったそうだ。

富士塚に関する説明版。
例祭は7月13日の初山で、いまでも神社の境内や前の道路にたくさんの露天商が出る盛大なお祭りだ。
年間1万人の参拝者がいるというが、ほとんどが初山の日なのではないか。

富士塚を見ていこう。
登山路の入口には一対の常夜灯がある。
石段は一直線で、丁石は見当たらなかった。

石段前左側にあった水盤。
文化11年の文字があり、これは社殿を再建した年だ。

石段右側には力石が転がっていた。
常夜灯の土台には杯状穴が掘られている。

拝殿。
山頂部にあるので引きが足らず、全体を写真に収めるのは困難だ。

拝殿の左側には富士山の登山記念碑。庚申塔も兼ねている。
先達が立てたのだろうか、66回記念となっている。

拝殿の右側には二十三夜塔。

拝殿内部。
拝殿の外観は地味だが、内部は豪華。
折り上げ格天井に百歌仙の天井絵がある。

拝殿の背後は凸型でそこが本殿だと思われる。
本殿のさらに背後には溶岩で作られた岩山がある。これ自体が小さな富士塚の規模だ。

一部コンクリートで固められているが、大正時代の関東大震災で崩壊したものを修理したのだという。

窟には石祠が埋め込まれていて、その前には石造の神使がいる。
非常に優れた造形の神使だ。

拝殿の背後には噴火口が再現されている。

石で組まれた井戸のようなものだ。
本物の富士山の噴火口のイメージに比べるとこじんまりとしている。また穴が玉垣に密着しているので周囲を歩くことができないのはどうしてなんだろう。富士山の火口はお鉢巡りといって周囲を歩く信仰があるのに、これではお鉢巡りを再現できない。

火口の後ろには5柱の末社がある。

下山は女坂から。

女坂を下りたところは小さな公園になっているが、遊具はブランコがあるだけ。
(2025年08月31日訪問)