両園部氷川神社の前の道、埼玉県道74号線。このあたり区間は「吹塚南園部中山線」と呼ばれているようだ。
道路の南側をずっと明渠の用水路が涼しげに流れる、私が埼玉県で一番好きな道。
センターラインもなく路側帯も北側のみ。歩行者や自転車では通りたくない危険な道なのだが、思い出せば昔の道路ってこんなのが多かった。
私が幼少期を過ごした前橋市の総社町でいえば、県道105号・総社石倉線がこんな感じだった。今じゃ想像もできなほど景色が変わっているが。
そんな昭和にタイムスリップしたのではないかとすら思えるのが、この道なのだ。
脇を流れるのは中山用水。なんと素掘りの水路。
川島町を代表する用水路は長楽用水・中山用水の2つでいずれも安藤川水系と言っていいと思う。中山用水は市街化されている部分を流れていて、人の生活に近い場所にあるというところが好きだ。
もちろん、市街地を流れる宿命として雑排水が入ったりゴミを捨てる不届きモノがいたりするから、水がすごくきれいというわけではない。
水のきれいさでいえば田園地帯を流れる長楽用水に軍配が上がるが、中山用水の姿はこれはこれで昭和的な郷愁だと私は思っている。これが津和野の用水路みたいになればいいなとは思わない。
吹塚南園部中山線でもっともしびれる場所、林屋商店前のクランク。
道路が酒屋さんに突き当たって桝形みたいに折れているのだ。対向車もあって緊張するカーブだが、まさに昭和の道、という感じがする。
いまはしもた屋になってしまったが、私がここを知ったときにはまだ酒屋さんが営業していた。日暮れ後に商店の明かりが灯る時間帯に通ると「何ここ?夢の世界なの?」と思うような幻想的な雰囲気だった。そのころ写真を撮っておけば、と思うがあとの祭り。
でも将来このカーブはなくなって、左側の住宅部分をぶち抜いて直線化され、越辺川天神橋の取り付け道路に直結する計画があるのでせめて今の様子だけでもこうして残しておきたい。そのときにはおそらく中山用水も暗渠になるだろう。
林商店の南側はこの区間で唯一、用水の横を歩けない。
両岸がコンクリートの擁壁で川幅が広くなっている。
ここには使う人がいなくなった勝手橋が2基ある。
クランクから西の区間は用水の両側が石垣になる。
火の見櫓。
勝手橋。
洗い場。
素掘り区間ほどの郷愁はないけれど、こういう風景だって珍しくなった。
吹塚南園部中山線の西の終わり、地蔵堂。
その前は広い淵になっている。水郷の風情がただよう。
ちょっとした駐車スペースと川へ下りる石段。
かつて近隣の農家が農具などを洗う場所だったのではないか。
あるいは子どもたちの水遊びの場所?
対岸にも階段がある。
この場所だけでも訪れて見る価値があると思う。
いずれ、吹塚南園部中山線の水場の風景は失われるだろう。
そのときかつての様子を思い出せるように、動画も載せておこう。
(2025年08月25日訪問)
