
江戸時代に出版された『新編武蔵風土記稿』の「瀧渡圖」の右下の森の中に不動堂が描かれている。
『新編...』には、不動の滝はこの不動堂に所属するものであり、不動堂は永田村内にある長楽寺というお寺の管理だと書かれている。
この不動堂は現在もこの場所にある。

ただし、お堂はだいぶ小さくなって、周囲の森もなくなって住宅地の中に取り残されている。

お堂の隣りは永田滝公民館。
「滝」はこの付近の小字だ。
奥に見える鉄塔は頭首工の洪水吐き等を知らせるサイレンだと思われる。

境内にはやけに高く盛られた土俵がある。

とても丁寧に管理されているが、小さなものなので実際に力士が相撲を取れるようなものではない。
かつてあった土俵を記念に残したか、あるいは、祭礼で行なう儀礼的な相撲か土俵入り等で使うものではないか。

道路沿いには地蔵尊群。
左端は高地蔵。

本堂の横には不動明王や如意輪観音群。
奥には宝篋印塔がある。

宝篋印塔。

宝篋印塔の基壇には杯状穴がたくさん空けられている。

宝篋印塔の手前には石造の不動明王。

なんだかよくわからない同心円が彫られた石塔。

この礎石にはたくさんの杯状穴が掘られている。

境内南側、不動の滝の上には石造の多宝塔もある。

こちらにも杯状穴。
ずいぶん熱心に掘ったものだな。

本堂は九輪を載せた質素な宝形造り。

内部の様子。
左側に版木みたいなものが見える。

境内に線刻の不動明王塔があるのだが、版木の姿を彫ったものではないか。

本尊の不動明王は小さな像だった。
(2025年06月19日訪問)