ダッキ山パゴダ

緩やかな丘陵の上にそびえるパゴダ。

(ミャンマーモン州モーラミャイン)

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パアン・モーラミャイン街道をカレン州からモン州に向けて南進する。州境を越えてモン州に入ると街道の正面に丘陵が見えてくる。

これまでずっと続いたサルウィン川の後背湿地の湿っぽい風景は終り、街道は大きく左へカーブして乾いた台地の上へと進んでいく。モーラミャイン市街はもうすぐだ。

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街道がカーブする場所はバブクァン村といって、丘の上に大きなパゴダがそびえているのが見える。

モーラミャインを何回か訪れたことがあり、そのつどこのパゴダが気になっていたのだが、これまでタイミングが悪く立ち寄ることができなかった。

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今回は時間に余裕があるので、あの丘へ登ってみる。

街道が左へカーブするところには、直進できる細い道がある。この道はおそらく街道の旧道だ。モーラミャイン市境のアトラン川に橋がかかる以前、街道はここを直進して渡船場でモーラミャイン市へと入っていたのだろう。

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並木道を進み丘が近くなると、周りの樹に隠れてパゴダを見失ってしまった。

だが僧院っぽい門があるのでここを入ってみることに。

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あ、パゴダの相輪が見えてきた。

道は正解だった。

でもこの階段を登るのは暑くてキツイ。道のワダチはみな左のほうへと続いている。きっとこの道を進めば、山の上まで行けるにちがいない。

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パゴダからはどんどん遠ざかるうえ、工事現場みたいな場所を通過していく。

ちょっと不安になるが、お寺の建物が視界にあるので、なんとかそこから遠ざからないように走る。

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だいぶ遠回りしたが、やっと境内への入口を発見。

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最初にくぐった門は、地味な赤色の逆さ懸魚タイプ。あれはどちらかというと参詣用ではない寺に用いるか、通用門のなどに用いるデザインだ。

こちらは山門の上に金ピカのミニパゴダが乗っている。このようにミニチュアのパゴダ、動物、仏像などが山門の上にある場合は、参拝のための設備が充実している寺である。

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入ってすぐ左手には三連の中型パゴダがあった。

金色を塗り直しているところだ。

作業している人との対比で、パゴダの高さは15mくらいはありそう。

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さらに進むと、寺の堂宇がならんでいる。

右側の多層の切妻屋根はたぶん得度堂ではないか。

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左側にあるのは仏殿。

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内部には触地印の仏陀が一体。

周りは散らかっていて、物置の風情。

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正面には回廊付きの階段があり、丘の頂上へと続いている。

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階段を登り切ったところには、横に長い建物。

日本の神社の長床(ながとこ)のような堂宇だ。

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長床を外からみたところ。

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長床を出ると露天になっていて、大型のメインパゴダとパゴダ拝殿がある。

「パゴダ拝殿」は当サイトの造語で、パゴダに密着していてパゴダを拝むための堂宇である。内部には仏陀がいる場合が多い。

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パゴダ拝殿は、パゴダの東西南北の4箇所に設けられる場合が多いが、このパゴダでは1箇所だけだった。

パゴダの形は、基壇部分が単純な八角形で、あっさりしている。

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覆鉢の部分には、夜叉っぽい鬼神が馬蹄のようなものを持った造形があるのが特徴。

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パゴダの周りのものたち。

鐘つき柱やムチャリンダ仏。

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タコンタイのてっぺんには、シンウーパゴがいた。

他に、サブのパゴダがいくつかある。

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寺は丘の頂上にあるので、周囲を見晴らすことができる。

南側にはモーラミャイン市の寺町の丘が見える。以前、丘の上のタッピンニュパゴダから、ここダッキ山を逆に眺めたことがある。

モーラミャイン市まではここからは10kmくらいか。

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北側は、サルウィン川の上流になる。

中央に見える白いパゴダは、次に向かおうと思っている訪問地。

その奥にうっすらと見える山塊はズェガビン山だ。

東のほうは、きょうこれまで見てきたエリア、ジャイン川の南岸街道になる。

①は、パアン・モーラミャイン街道から別れてこの寺へと続く並木道。

②は、洞窟寺院の宝庫カァヨン山。この山だけで、セイッタートゥカ僧院カァヨン洞窟寺モンジャン洞窟寺の3つの洞窟寺院がある。

③は、南カァヨン僧院。まだ発展途上の洞窟寺院。

④は、さっきまでいたフンメ山とタンマサー村。

⑤は、ヤシの木の並木道。この道を通って次のパゴダへと向かう。

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(2015年11月29日訪問)