カァヨン洞窟寺などがあるカラゴン村まで戻ってきた。
この辺りには人家がまったく存在せず、ジャイン川南街道は数キロ続く直線で田んぼの中を横切っていく。
その人家がない区間に、唯一あるのがこの建物である。
平面が円の茶堂と考えていいのではないか。
柱が5本なので、これがもし五角形だったら、当サイトでは初めて収録される「五角堂」になるのに惜しい。
この建物は、道の向かいにあるお寺の参拝客のための、休憩所かバス停のようなものだ。
街道から寺までは500mの参道があるが、なにせ周囲は水田なので見通しがよく、寺には大した建物もないことはわかっている。でも、すでに何度かこの前を通っているので、せっかくなので参詣してみることにした。
参道の入口には逆さ懸魚型の山門があり、その左右には
誕生仏はなぜかゾンビみたいな色で塗られていた。
お寺までつづく参道は、典型的な田舎のあぜ道。
思えば私はこういう道が好きなのかも知れない。
照りつける太陽の陽気さと裏腹に、誰もいない寂しい感じが好きだ。ミャンマー的な風情。簡素な電柱がこの上なくいい味を出しているではないか。
パゴダは周囲にわずかな敷地があるだけで、田んぼの中にぽつんと建っている。
建物といえば、僧房というか日本で言えば庫裏っぽい建物がひとつあるだけ。
寺の名前は「ディーリィヤッダナーラパトゥカセディド」とのこと。長いので「ディーリィヤッダナーパゴダ」とした。
パゴダの前には5体の仏陀が横に並んでた。
これまでにあまり見ない配置だ。
ここにも傘蓋仏がある。
各仏陀の前には、仏陀にかしずいている人の像。何かの説話なのだろうか。
こちらではゾウとサルが仏陀にかしずいている。
ゾウは筒を捧げているが、これは花差しではないか。
サルが持っている物体が謎で、見たイメージをそのまま言うなら「串に刺した心臓」だ。ジャータカの物語にそんな話でもあるのか?
パゴダはシュエダゴンパゴダ風のシルエット。
ペンキが剥げてきており、そろそろメンテが必要そう。
寺の敷地の東に正方形の池がある。
階段井戸的な要素も感じるのだが、残念ながら実際には四角い貯水池としか言えないものだった。
その池には浮御堂があり、定番のシンウーパゴが祀られていた。
顔の向きはよくある右向き。
(2015年11月29日訪問)
福岡県の神社 (アクロス福岡文化誌 6)
単行本 – 2012/5/1
アクロス福岡文化誌編纂委員会 (編集)
amazon.co.jp