次の寺に向かう途中の村で、不思議な建物を見かけた。壁がなく、屋根だけが地面の上に直接載っているような造りだ。遠目には日本の昔の竪穴式住居にも見える。
消石灰は酸性土壌を中和するための肥料として使ったり、パゴダなどに使う建材の
消石灰は、
乾燥小屋の雨が流れ落ちるところに、大きな塊になった石灰が置いてある。何らかの意味がありそう。反応が足らなかった生石灰に雨水を当てるためだろうか。
金属の傘がついた見慣れない道具は、生石灰を掘り出すためのものか。
出荷前の石灰がリアカーに積んであった。
よくよく辺りを見回してみたら・・・
・・・わぉ、石灰窯だ!
「
めちゃテンションが上がる。
リアカーの持ち主と思われるおじさんが作業中だったので、見学させてもらうことにした。
窯の直径は3m、高さは焚き口から3mほど。
思ったより浅いな。
私がこれまでに見たことのある日本の石灰窯は山の斜面や崖などを利用してもっと深い穴に作られていた。
内壁は耐火レンガで出来ているようで、中は空だった。おじさんは炉の回りに残った石灰を集めて袋詰めしているのだった。
もちろんお互い言葉は通じないので身振り手振りで話を聞くしかない。想像になるが、おそらくこのくぼみに薪と
それにしてもなぜこんなに穴が浅いのか謎が多い石灰窯だ。
炉の外側には、まだ焼いていない石灰石がころがっていた。大きすぎて炉内にうまく収まらなかったのか。
カレン州には石灰岩の山が多く、ミャインカレイには大規模なセメント工場もある。これも近くの山から掘り出された石灰石なのだろう。
焚き口。
ここから火を入れ、着火後は空気の取入れ口として機能するのだろう。様子からしても、ここから石灰石を運び出すということはありえない。
仕事とはぜんぜん関係ないが、この石灰窯が機能するところは見に来たい。
周りには薪にするための木材が積まれていた。
精米機か? あるいは、消石灰をふるうための機械かもしれない。
近くの道を石灰石を積んだトラックが砂ぼこりをあげて走っていた。
この村は石灰の生産地なのだった。
村を回ってみると、石灰乾燥小屋をたくさん見ることができる。
内部の造りはどれも似ている。
消石灰の反応施設と思われるもの。
道ばたには木材が野積みされている。
石灰の生産には大量の木材が必要なのだ。
日本でもかつて瀬戸内地方などでは、海水から塩を作るための燃料として森林資源を消費したので山には樹がなかったという。また都市住民の薪炭の原料としても森林は消費されていた。実際、戦前の写真を見ると山は丸裸の場合が多い。
カレン州でもこのように石灰を生産するために森林がなくなってしまったのかも知れない。
(2015年12月07日訪問)