正木谷の大神宮

村の奥の行き止まりにあった小さな神社。

(徳島県那賀町音谷正木谷)

那賀川の本流に戻り、国道195号線を西進。高知市まで通じている立派な国道だ。

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この国道を走っていると、山の尾根にすごく目立つ集落がある。国道がほぼ直線になっている区間で、正面に立ちはだかる山の斜面にあるので目立つのだ。何があるというわけではないが、きょうは暇なのであの尾根の集落までに登ってみよう。

集落の名前は田ノ久保。

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国道の音谷という字から枝道に入る。

枝道に入ってすぐのところに短いトンネルがあり、トンネルの上が神社になっていた。聖神社というらしい。

ここは素通りして集落を目指す。

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あっれ~? 間違えて別の集落に着いてしまった。

田ノ久保よりもずっと奥にある正木谷という字だ。

地図を見ると神社があるようなので、とりあえず神社まで行ってみることにした。

村の一番奥まで行くと、無人の民家があった。背後はミカンの段畑になっている。

神社はこの横なのでここに車を止めていく。

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このタイプの間取りの2階建ての民家は、この近辺でよく見かける。

気になるのが主屋の右側にある2階の納屋のような建物。一見すると農家の納屋のようにも見えるのだけど、南側に開口が多く、人が居住できそうな感じでもある。もしかしたら、子に家督を譲った親の隠居部屋とか、長男以外の子が暮らす場所なんじゃないかなどと想像してしまう。

いずれにしても、まだスパっと説明できないタイプの民家のタイプなのだ。

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神社へ行ってみた。鳥居の扁額に「大神宮」とある。

手前のノコギリみたいなものは、ミカン畑へ登るモノレールのレールだ。

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社殿はなく、小祠が並んでいるだけだった。

正木谷にはまだ数戸の人家が残っているので、その住人が手入れをしているのだろう。境内はきれいになっていて気持ちがよかった。

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いい村だな、などと思うのは山で生きる術も持たない平地人の感傷であって、このように山を下りてしまう家も決して少なくはない。

私が徳島に住んだ期間にも、前に来たときには人が居た人家が次に行くと無人になっていたことは何度も見てきた。

(2007年05月27日訪問)