
徐福の宮へ降りる国道沿いの駐車場。
この駐車場から山側にも道があり、波田須神社という神社がある。ここは矢賀集落を見おろす一番高い場所だから村の鎮守なのだろう。
徐福の宮から駐車場まで登ってきただけですでに疲れ気味なのだけど、もう一踏ん張り、神社に登っていくか。

この場所は矢賀は集落の裏山に国道が開通したという地勢ではなく、もともと街道は山の高い位置を通っていた。リアス式海岸なので山の高い場所を人々は移動せざるをえなかったのだ。
つまり矢賀集落は裏山に氏神があるのではなく、街道に面した氏神から降りていくと村がある、という地勢なのだ。

その証しに、神社の前を通るこの山道は熊野古道の伊勢路なのだ。
熊野古道はユネスコの世界文化遺産に指定されているが、その全行程が指定されているわけではなく、文化財として指定されている箇所は途切れ途切れになっている。この場所ではこの標柱から先の部分が世界遺産だ。

ラックレールがあった。
柑橘畑などがある感じではないから、神社へ登るためのモノラックがあるのだろう。

駐車場から少し登ったところに鳥居がある。
神社の境内は大きく段状に造成されていて、法面は石垣でしっかりと施工されている。

鳥居を潜って石段を登ると、拝殿のような建物が見えてくる。
石段の踊り場には水盤がある。

水盤には山水が引いてあり蛇口があるが、気になるのはその上に掛けられた白布。
まさか手を洗ったあとに使う手ぬぐいではないよね? 流水灌頂的なものか?

水盤の向かいには石室に入った青面金剛。
きのう訪れた阿弥陀寺でも同じような青面金剛があったな。この地方の特徴なのだろうか。

ラックレールは境内の西側を巻いている。

モノラックはカバーされて残されていた。

石段を登ったところにある建物は拝殿というには違和感がある。前面が完全に壁で、参拝する場所がないのだ。

建物は斜面のキワキワに建てられているので、正面からのアングルでは撮影できない。
杯状穴のある古い基壇もあり、昔はさらにキワキワに建っていたようだ。

建物を横から見たところ。
裏側には戸があり開け放つことができそう。

中央には通り土間っぽい箇所がある。
これは長床ってことでいいかな?

長床の裏側に少し平地がある。建物を崖のキワキワに建ててまで、裏側の平地を重視したレイアウトになっているのだ。
もしかしてこの建物の戸を開け放つと神楽殿か農村芝居小屋的に機能して、村人はこの石垣を桟敷にして観覧できたのではないか?

山側には石垣の段があり、その上に拝殿+本殿がある。
不思議な拝殿だ。もしかしたら、拝殿に覆屋がかぶさっているのか。

本殿は神明造だった。
(2024年12月16日訪問)