
七種神社のすぐ近くに小さな陶器店がある。
和具屋商店である。元禄年間の創業といわれる商家で、元は魚問屋だったのが幕末に陶器問屋になったという。

表通りに面した間口は1.5間しかなく、敷地は奥に長いいわゆる「ウナギの寝床」。
両サイドが更地になっため、そのウナギ具合がもろにわかる。

現在和具屋が扱っているのは茶碗や急須など普段使いの食器がメインだ。でも商品はどれも昭和感が強すぎて、買う人を選びそう。あえてレトロなデザインを集めたセレクトショップというのではなく、昭和からの在庫がそのままデッドストックになっているのではと思わせた。
たぶんお店としても商品を売ることはあまり期待していないようで、入場料をとって店内を探検できるようにしていた。いわゆる街角博物館的な場所なのだ。

このお店の見どころは、店内に続くトロッコレールだ。

店の奥に向かってレールが延びている。
入場料200円を払えば、このバックヤードを自由に見学できるのだ。これ、好きな人にとってはたまらないのでは。

敷地は奥行き64mあり、レールは最深部まで延びている。
途中にはトイレや風呂など、生活空間もある。

一番面白いのは途中でレールがクランク状に曲がっている場所。
たぶん、奥の蔵のあたりは敷地の幅が2間あって間取りが少し広くなっているのではないか。

奥のほうは蔵になっているのだが、商品の在庫が置かれているのではなく、家財道具や店主が集めた骨董などが雑然と置かれている。

骨董と言っても、美術館に陳列する効果なものではない。村の民俗資料館にあるような日用品や、ガラクタ市で並ぶような、よくわからない品々。

なお奥のほうにある骨董は販売はしていないので、ただ見るだけだ。

レールの終点にはトロッコが残っていた。

奥には店主のオジサンがいるので、展示品について知りたいことがあれば質問すれば教えてくれる。

奥の蔵は宝暦7年(1757)に建てられた建物だといい、2階にも登らせてもらえるが、床が抜けないかおっかなびっくりだ。
(2024年12月14日訪問)