
伊勢河崎商人館というやや漠然とした名前の展示古民家がある。豪商の屋敷を入場料をとって公開しているのだ。
拝観料は350円だった。町並み散策でこの施設の駐車場に入れさせてもらったので、見学していくことにする。

元は酒問屋で、そのた諸々の商品も扱っていたようだ。
勢田川沿いには蔵、通りには店、奥にまた蔵があり、敷地は推定2,000坪強の豪農だ。
建物はほとんどが明治中期のようだ。私たちが「まるで江戸時代にスリップしたみたい~♥」って思う建物って、たいていが明治~大正の建物なのだよね。

入場料を払った先は通り土間になっていて、裏側の蔵まで土足で通り抜けられる。

帳場は吹き抜けで、神棚がある。
神棚は2階で人が歩く場所には造らないのが本来だ。

座敷にも上がれる。
やっぱり展示古民家は上がれないと。

茶室。
天井が格天井で豪華。

町屋は密集した市街地に建てられるため、大名屋敷みたいな広い庭園を持つことはない。
鰻の寝床みたいな敷地にミニマムなウチ庭を作って、そこで複雑で奥行きのある空間を感じさせるのが町屋の見どころ。

で、この屋敷の庭はこんな感じ。
美しいけれど、息を飲むほどかというとそこまでではないかな。

壺庭はちょっと大味だ。

贅沢を極め切った感じがないのはガラス戸がはまっているからか。

やっぱり濡れ縁に障子というのが壺庭に面した部屋のしつらえとしてはふさわしい。

2階にも登れる。
これは表通りに面した部屋。
比較的日当たりのよい南側だけど、天井は竿縁天井であまり格式もないので、使用人の部屋だったのではないかと思う。

2階から見おろすおもての蔵。

奥まで蔵が続いていて、その蔵の中にも古いものが展示されているので、すべてを見るとけっこう時間がかかる。

これはサイダーを生産していた時代のろ過槽だとい。
(2024年12月14日訪問)