
旅の2日目。
きょうは伊勢神宮でも行こうかと思い、昨夜は伊勢市内のに宿泊した。ホテルのすぐ近くに伊勢河崎という古い河岸の跡があるのでまずそこを散策することにする。

伊勢市はお伊勢参りの参拝客を受け入れるため江戸時代から繁栄した三重県南の中心となる町だ。
そこで消費される様々な商材はかつては水運によって運ばれ、ここ河崎に荷揚げされた。川に沿って河岸問屋がならぶ商家街で「伊勢の台所」とも呼ばれ繁栄した。

現在は防災のため川には堤防ができて、当時のイメージはわかりにくくなっているが、それでも川沿い蔵が並んでいて、河港好きの人ならば十分に雰囲気を堪能できる。

こうした家々のバルコニーも昔は直接川面に面していたのだろう。
穏やかな瀬戸内などでは海岸や河口部に水面すれすれに家が並んでいる場所がいくつかあるが、この地域は過去に伊勢湾台風で大きな被害を出しているから、防災についての意識がちょっと他とは違っているように思う。


運河である勢田川により多くの店が面することができるように切妻、妻入りの家が多い。
漁村などにもありがちな建てかただ。

現役の八百屋さん。
おそらく明治くらいの建物じゃないかと思うが、下見板は修景されたものかもしれない。

多くの店はもうしもた屋で、商家街としての機能はなくなっている。
どうやって生計を立てているのか謎なセレクトショップや喫茶店などがちらほらあるくらいだ。歴史的町並みって不思議だよね。

町並みの南の端あたりの蔵屋敷が最も見ごたえがある地域になる。

独立した防火塀のある家。
卯建の一種といってもいいかもしれないが、河崎には卯建を揚げた家はない。卯建って基本的に切妻平入りだからね。

町並みの北寄り、北新橋付近。

公開された河岸問屋があり、船着き場が再現されている。

道路から川のほうへ降りていく路地。

こんな風に川面に蔵が面していて、舟から直接荷揚げできたのだ。

現在は堤防ができたので池として河岸が復元してある。

1999年に訪れたとき、まだこの場所は実際に川に面していた。
もしかしてこのころは汽水だったかも。
(2024年12月14日訪問)