海川谷東俣の吊り橋

国道193号線に面した朽ちかけた吊り橋。

(徳島県那賀町海川)

徳島市には大きく分けると2種類の人間が住んでいる。

県南の海部町(かいふちょう)に遊びに行くとき、国道55号線を使う人間と、国道193号線を使う人間だ。

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地図を見ていただくと、海岸線に沿って行くのが55号線、内陸を南北に行くのが193号線という言い方ができる。

「どっちも国道だから似たようなものじゃない?」と、思われるかもしれないが、この2つのルートは徳島県で最高に快適な国道と、最も過酷な国道という両極端な違いがある。

国道55号線は阿南市まで4車線道路、その先も高規格幹線道路を含み、終始スピードが出せる。県南に移動するとき、徳島市民の99.9%が利用するルートである。

残りの0.1%が通るのがこちら、国道193号線。

区間のほとんどが1車線でカーブの連続が100km続く。ガソリンスタンドもコンビニもない山の中だ。途中3ヶ所ある峠は大きな台風があるたびに崩落して通行不能になる酷道なのだ。

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あるとき私は海部町に遊びに行った帰り、193号線を通って美郷村経由で家に帰ろうとしていた。

ひとつ目の大きな峠、霧越峠を越え那賀川の支流、海川(かいかわ)谷へ入った。しばらく行くと、国道沿いに目立つ吊り橋がある。

あれ? この橋、以前は通行止めのチェーンが張ってあったけど無くなってる! 通行できるようになったんだ!

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これは4年前の様子。

入口にチェーンが張られている。

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今回の様子。

チェーンがない、通行止め解除になったってことよね?

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歩きやすいように板が渡してあるし。

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橋幅は1m、橋長は25mくらいかな。

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橋床は木製だけど、腐っていて怖くて歩けない、というほどではない。

いやな汗は出るけど、なんとか歩ける。

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ケーブルの張り方などは、土木工事というよりも林業索道の仕事のように見える。

林業で山に入るための道なのか。

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橋上から下流の様子。

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源流部だが水量が多く、川の水は青く透き通ってきれいだ。

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改めて GoogleMaps の衛星写真を見てみたら、この橋の先には人家があるようだ。その家へ行くための橋だったのだ。

さすがに現在は人は住んでいないと思う。

(2008年05月31日訪問)