臥龍山荘の茶室から見えた沈下橋に来てみた。
河原に無造作に造られた取り付け道路が、いかにも水に浸かりますという感じ。
後ろに見えているピラミッドみたいな異形の屋根は日帰り温泉施設。
その手前には真っ赤な鳥居が目を引く。
鳥居は水天宮。
茶堂のような作りになっている。
沈下橋の名前はわからなかった。この河原が妙法寺河原なので「如法寺橋」か、左岸の字である「柚木橋」のどちらかだろうとは思うけれど。
沈下橋というのは、橋げたが川の両岸の堤防よりも低い位置にある橋であって、しかも実際に増水したときの水圧を想定した設計と管理になっている橋のことをいう。当サイト的には、後者の条件のほうが重要かな。たとえば、河川の幅が広い水系では、堤防の内側にゴルフ場や運動場なんかがあってそこに小さな普通の橋が施工されていたとしても、いまのところいちいち沈下橋としてはカウントしていない。
沈下橋の欄干は3パターンあって、①この橋のように抜き取れるようになっているものと、②コンクリートの一体構造で20cm以下程度に低く作ってあるもの、③まったく欄干がないものがある。
正確に調べていっているわけじゃないけれど、私の住む徳島県には②が多く、高知県の四万十水系には③がの割合が多いような気がする。①は私が大学時代を過ごした埼玉県東部の荒川水系に多い。
欄干が抜けるタイプは、増水が予想されるときに河川事務所だか自治体の土木課だかが、抜き取る管理が必要で厄介だと思うが、日常で車などの落下事故で自治体が管理責任を追及されないというメリットもありトレードオフ。川が身近な存在かどうかで、③→②→①になるのじゃないかな。
この橋は橋げたに鉄板がついていて、流木が激突しても壊れないようにかなり頑丈に作られている、本気度の高い沈下橋だ。
(2011年10月09日訪問)
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十代田 朗 (監修)
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