出雲乃伊波比神社

明治以前は白旗八幡社と呼ばれていたという。

(埼玉県寄居町赤浜)

写真

県道81号線(熊谷寄居線)を通っていると、道沿いに玉垣が目立つ神社がある。

出雲(いづも)()伊波比(いわい)神社だ。

写真

案内によると神社の創建ははっきりしないが延喜式にある出雲乃伊波比神社がこの神社だとされている。平安時代末に源頼義が東北の平定に向かうためこの地を通ったとき、戦勝祈願で白旗を奉納したため、白旗八幡社と呼ばれるようになったという。そのころは河岸段丘の下側の土地にあったが、室町時代に荒川の氾濫によって集落ごと現在の崖線上へ引っ越した。

明治維新後、出雲乃伊波比神社という名前に戻したが現在も「八幡様」と呼ぶ人が多いという。

写真

境内はスギやケヤキで鬱蒼としている。

写真

鳥居は扁額の上に唐破風が乗ったタイプ。

写真

境内入口の右側には神社の神官の家の墓地がある。

写真

境内の東側の敷地は社務所、軒、赤浜集会所になっている。

敷地がやけに広々確保されているので、もしかしたらそれ以前には幼稚園があったかもしれない。

写真

現在は公園のようになっていて滑り台が残されている。

写真

しかし公園になっているおかげで入口のゲートが閉ざされている。たいていこういう神社では、こうした場所が参拝者用の駐車場に供用されているのだが、この神社は車を置く場所がまったくない。

しかも交通量の多い県道に面しているので、神社前に駐車することもできず、離れた場所に路駐しなければならず困った。

写真

参道左には浅間大神、天照皇大神、榛名神社。

浅間大神は石垣の上に乗っているが、富士塚と呼ぶには無理がある。

写真

その横には末社のアパート。

左から、蠺影大神、三峯大神、古峯大神、天満社、愛宕大神、白山神社、伊奈利社となっている。

写真

参道右側には水盤舎。

写真

日露戦役紀年碑。

石塔は5つあるが、右から2つ目の自然石の丸みのある石塔には「馬大神」と彫られている。軍馬を慰霊したものだろう。

写真

参道は県道から50mほど続く。

写真

拝殿前の左側に神楽殿。

写真

拝殿。

拝殿前に狛犬がいるが、拝殿を背にして、お互いの顏を見合っている珍しい配置になっている。

狛犬は専用に造られたものではない。左側が阿形になっていることから、通常の造形の狛犬を左右逆に置いて90度回転させたもののようだ。

写真

本殿は拝殿とは独立していて、流造り。

写真

向拝柱の部分に横壁があり、円窓が開いている。

金網で覆われているのは何か意味があるんだろうか。

こんな粗い網では動物は防げないので、人間によるイタズラ防止くらいの機能しかなさそうだが。

写真

本殿の左側には末社の妙見社。

写真

妙見社内部の様子。

写真

さらに八坂社がある。

写真

本殿の背後は森になっている。

やや斜面が下りになっているのは、この先が荒川の段丘崖だからだ。

(2023年11月05日訪問)