小豆島霊場の3番札所観音寺の奥の院へ向かう。
本坊はふもとの市街地にあり、おそらく納経は本坊でできるのだと思う。先に行ったはずの歩き遍路がこちらに来ている様子がないからだ。
奥の院へ向かう道の両側はウバメガシの純林。紀伊半島や、私が住む徳島の海岸線はだいたいがウバメガシの自然林になっている。つまり沿岸部の潜在植生である。
この森には案内板があり人工林で、ご当地ではウバメガシのことを「バベ」と呼ぶそうだ。
手入れをしている森だという。ウバメガシは硬くて、漁具や良質な木炭の原料になる。
奥の院へ向かう途中に展望台があり、そこからは坂手の町並みと港がよく見える。
中央に続く山並みは田浦半島。半島の左側は外海、右側は湾になっている。右側の湾は非常に深い入り江で「内海湾」と呼ばれる。坂手港が天然の良港だということがよくわかる。
山頂を巻いて、東斜面に到着。
夕方ということもあって誰もいない。
ここは小豆島霊場3番札所となっているが、本坊も3番なのでここまで来る人は少ないのか。
境内は崖の下のわずかな平地に堂宇が寄り添うように建っている。
ふもとから見るとこんな場所。
すごい崖だ。
山門の前にあった日限地蔵堂。
山門は八脚門の仁王門の鐘堂門。
単層の八脚門の中に鐘があるのはめずらしい。
境内は建物のすきまを通り抜けるようになっている。
信徒休憩(宿泊?)所かな? 中国地方の山奥の大師堂で何度か見ている風景。
立派な堂塔よりもこういうところに信仰の厚さを感じてしまうんだよね。
ミニ多宝塔があった。
本堂らしき建物は背面が崖に接している。
中に上がれそうだったので入ってみよう。
あまり見かけない構造だ。外周に棚のような場所がある。仏像を並べるための棚か。
中央のステージみたいな場所も奇妙だ。
内陣とおぼしき場所は奥の壁にめり込んでいる。
内陣の奥は岩壁が剥き出しになっていて、その窪みの中に弘法大師が祀られていた。
一種の洞窟である。
本堂から少し離れたところに展望台を兼ねた別の大師堂がある。
正面から見ると縋破風光背がついた瓦葺きの建物のようだが、屋根は実際には陸屋根。
ここは東斜面なので、展望台からは淡路島が遠くに見える。
外周は十三仏霊場、板東三十三番観音霊場になっていた。2基の後生車あった。車は御影石製。
この展望所から下のほうには小さな牧場が見えた。
(2006年10月07日訪問)