タダナレキダ僧院

ゴム農園の中にある僧院。

(ミャンマーカレン州パアン)

きょうは日曜日で終日休みにした。パアンで今回の仕事を始めてからここまで、土日祝祭日関係なく夜明けから日没まで1ヶ月働きづめ、休日は2回目なのである。我ながらよく働いたと思うし、現地スタッフもそれ以上によくやってくれた。仕事もなんとか形になったのでこれからはスタッフ達も慰労してもらいたいし、カレンダー通りには休みたい。

せっかく1日時間があるので遠出しよう。1回目の休日にはアトラン川流域に出かけた。2回目の休日のきょうはドゥラン街道(下の地図参照)を走ってみよう思う。

ドゥラン街道は私が勝手につけた名前。一般的にパアン→コーカレイ間はAH1号線がメインルートになるのだが、それと並行する間道がドゥラン街道である。ナンロン村付近でAH1号線から分かれてコーカレイに至る道なのだが、聞くところでは悪路の連続であまり通ることはないとのこと。

悪路上等。最初からわかっていれば覚悟も違ってくる。きょうはこのルートでまずラインブエ川を目指す。街道は抜水橋でラインブエ川を渡っている。この橋から東の地域は正直、外国人が入っていいのか微妙な気もするのだが、なにせ目的の洞窟寺院がこの地域なので行ってみるしかない。ラインブエ川に検問所でもあって止められたらあきらめよう。もしドゥラン村が通行できれば、次はナブー村まで行き、帰路はチョンドゥ町に出てAH1号線で帰る計画だ。

たぶんきょうも長い一日になるだろう。

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東ナンロン村、ドゥラン街道の起点である。

入口からして未舗装。パアン周辺は田舎の道でもけっこう舗装化されてきているのに、街道の入口から未舗装というのはそうはない。

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ドゥラン街道に入って、最初の7~8kmは特にひどい。

道というより、何かのアトラクションか、オフロード車専用のサーキットか、という状態。

普段なら半泣きになってしまうような路面だが、きょうは最初から覚悟しているのであまり悲壮感はない。

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前輪の車軸が折れたボンネットトラックが道ばたに転がっていた。積み荷の様子から、まだ壊れてからあまり時間が立っていない様子。

トラックも壊れるほどの悪路なのである。

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困るのは単に道がデコボコしているところだけではない。対向車が来ると、前が見えないほどの砂ぼこりが巻き上がるのだ。

こんな悪路が続く。

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ドゥラン街道を入って7kmほど行ったところに、衛星写真で湖のようなものが見える。ぱっと見にはダム湖のように見えるが、こんな田舎にダム湖を作るとも思えないし、そもそも、水利用のための灌漑設備や水路も見当たらない。たぶん自然の地形だと思う。

一方、周囲のパッチワーク状の模様は人間の手が入った森だ。おそらくほとんどがゴムだと思うが、実際にその場所に行ってみるとこれだけの広大な森林資源が、何かの豊かさを生み出している感じもしない。

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湖に行ってみた。

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暑季にしては水はけっこうあるけれど、生き物の気配はあまりない。つまり、水草や魚、水鳥などがいないのだ。

やっぱり人工湖なのか?

これまでパアン周辺で見かけない風景だ。

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その湖からいくらも行かないところに僧院の山門があった。

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普段なら完全にスルーするタイプの山門だが、山門脇の丘の上にパゴダが見える。

たぶんこの道はもう二度と通ることもないだろうから、入ってみることにした。

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僧院の敷地には規則正しくゴムの樹が並んでいる。

僧院の敷地にゴムを植えたとうよりも、ゴム園の中に僧院を造ったというのが正しい言い方だろう。

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これがゴムの樹。

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樹液をこのようにコップに集めて、それを固めて出荷する。

お坊さんは仏に仕える身なので基本的に労働はしないはずなので、別の労働者がこの寺の中でゴムを採集するのだろう。

でもお坊さんも含め、まったく人が見当たらない。

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とりあえずパゴダの丘へ登ってみよう。

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めずらしい階段付きのパゴダ。

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このパゴダは小さい奇岩の上に建てられている。

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もうひとつのメインとなるパゴダも、基壇に岩を利用していた。

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カーテンのついた祠があった。

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中を覗いてみるとボーボーアウンが祀られていた。

19世紀初頭に実在したとされる行者である。

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僧房のほうへも行ってみよう。

建物はとにかくゴムとゴムの間にある。

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これは仏殿かな。

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その内部。

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のっぺりした面長のめずらしい造形の仏陀。

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講堂であろうか。

人もいないし、戸締まりもされていてまったく様子がわからない。

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僧房か。

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水垢離場。

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燃料小屋か。

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東司。

ほんと、モロにゴム園の風景なのがおかしい。

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カレン州にはゴム園は膨大にあるが、思えばあまりゴム林の中に入ったことがなかったな。

いつかちゃんと訪問してみたい。

(2019年03月10日訪問)