タンマサー僧院から眺めた東側の景色。なんといっても目を引くのは、ひときわ高い山の上に見える展望台ふうの建物。ふもとからの標高差は300~400mはありそうだ。
これは登ってみたい!
暑季でクラクラするような暑さだけど!
ここからは登山路らしきものは見えないし、そもそも山に近づく道もよくわからない。GoogleMapsによれば「ဟောမ္မ(フンメ)山」、お寺の人に訊ねたところ「ピア山」あるいは「ピュア山」とも聞こえた。この辺りはモン民族が住んでいるので、ビルマ語の呼び方とモン語の呼び方の2通りがある場合もある。そもそも質問が正しく伝わっていたかどうかもわからないので、GoogleMapsの名前を参考に「フンメ山」しておこう。
山に近づく道を探して村の中を行ったり来たりしたのだが、ルートは見つからなかった。
しかたがないので、唯一見つけられた道を通って、近くに見えるパゴダへ行ってみることにした。
ただし、この方向から山に近づいてもガレた崖があるだけで到底山頂へは行けなさそう。
途中にも山頂に点々とパゴダがある。それなりに険しい参道がついているので登ったらおもしろそう。
通常なら登るところだが、このあとフンメ山を極めようと思っているので、パスしておく。
分かれ道があった。
左方向がフンメ山麓なのだが、右方向にも寺が見えたのでまず右へ行ってみる。
小さなパゴダがある僧院だ。
境内には野良犬の群れがいて、やけに興奮している。私は犬はキライではないし、狂犬病の予防接種もしてきているのだが、興奮した野良犬の群れというのはさすがに躊躇してしまう。
何とか野良犬を刺激しないように境内を進む。
よく見ると崖下が洞窟になっているみたいだ。
入口には鉄格子があり、中へは入れなかった。
お寺の名前は・・・モン語だな。だんだんビルマ語とモン語の違いがわかるようになってきた。一見すると読めそうなのだが、音標符号の種類や位置が微妙に違っているのと、文字の並びに何となく特徴がある。
あとで職場のスタッフに見せたら、
「ティーヤムセー、だと思うけど読むのがむずかしい」
とのこと。
パゴダは覆鉢にくらべて基壇の部分の比率が大きな安産型だ。
周囲には八曜日の守り本尊。
奥は鍾乳洞になっていて真っ暗。
かなり奥が深く、先は山の反対側に抜けているようだ。
鉄格子が閉まっていたのであきらめて帰ろうとしたら、僧房からお坊さんが出てきた。
「洞窟、見たい?」
「見たいです!」
寺男を呼んで見せてもらえることになった。
また野良犬たちが集まって吠えかかってきたが、寺男が石を投げて追い払ってくれた。
洞内には照明があったのだ。
鉄格子にはカギはかかっていなかったので、勝手に入ることはできたのだが、ちゃんと案内してもらってよかった。
仏教説話ジオラマが並んでいた。
色とりどりの照明が、まるで場末の温泉地のスナック街みたいだ。
普通に白色の蛍光灯でいいところを、なぜこんな色にするかなあ・・・まぁ、ミャンマーの寺のそういうところが好きなんだけど。
ジオラマブースはけっこう数があり、例によってほとんどは何の場面なのかわからない。
釈迦の誕生の場面。
これはさすがにわかった。
洞窟の一番奥には10mくらいの寝釈迦がいた。
鍾乳洞は山の反対側に達しており、反対側から光が差し込んでいた。
このあたりの鍾乳洞は山を貫通している場合が多い。こうした鍾乳洞が成立する条件があるんだろうか。
寝釈迦の前から、入口方面をみたところ。
寝釈迦の横には、仏陀の会議場。
その横には過去七仏か。
6人しかいないけど。
寝釈迦も1人と数えればいいか。
コブラ光背仏の鮮やかな配色と、色とりどりのネオンが相まって、何ともいえない怪しい雰囲気を醸し出している。
勝手に入らずに、お寺の人に案内してもらってホントよかったよ。お寺の人に感謝!
・・・と思ったのも洞窟を出るまでであった。
洞窟を出てみると、入口で脱いでおいたサンダルが片方無くなっていたのだ。
寺男に石を当てられた犬が、仕返しに私のサンダルを隠したのだ。バカ犬のくせにそういう悪知恵だけは働くんだな。
お坊さんも来てしばらく皆でサンダルを探したが見つからない。そのうち皆あきらめムードになり、お坊さんが自分の履いていたサンダルを脱いで私に差し出してきた。気持ちはうれしいけど、日本から持ってきた足になじんだサンダルなので簡単には諦められない。
お坊さんも寺男も僧房へ戻ってしまい、私はお坊さんのサンダルを履いてひとりで境内をウロウロ。結局、お寺の隣の草っ原で偶然にもサンダルを発見できた。こういうこともあるのだ。次からは野良犬が絡んできたときは、サンダルを盗られないように注意しよう。
(2015年04月26日訪問)
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