徐福の墓・徐福公園

江戸中期に建てられたという徐福の墓がある。

(和歌山県新宮市徐福)

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JR新宮駅の駅前に徐福(じょふく)の墓というものがあるので立ち寄った。

徐福は中国の歴史書『史記』に登場する人物。

秦の始皇帝は晩年、神仙思想に魅せられ不老不死の薬を国中で探させた。それは発掘された木簡などで確認できる史実のようである。その始皇帝に取り入って、不老不死の妙薬捜索の資金を出資をさせたとされるのが徐福だ。徐福が実在したかどうか不明だが、もし実在したとすれば紀元前3世紀~紀元前2世紀ごろの人物であろう。

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神仙思想では東の海に蓬莱山という仙人が住む国があると考えられていて、それが転じて、徐福が不老不死の薬を求めて日本にまで来たという伝説が生まれた。

紀元前3世紀といえば日本はまだ弥生時代だからその当時の記録は残っていない。しかし『史記』は奈良時代には日本に伝わり古くから日本では受容されてきた。その中で、徐福の伝説も生まれたのだろう。

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この徐福の墓とされるものは、江戸中期に紀州藩主によって建立が計画されたが実現できなかったという記録があるようだ。現在の墓石は昭和15年(1940)に作られたもの。

この公園があるJR新宮駅の東側の地番は「新宮市徐福」となっている。

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墓所は低い塚のようになっていて、クスノキが日影を作っている。

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墓前には香炉があり、線香が置かれてる。1本20円。中国式だと3本上げるので実質60円か。

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私は徐福というと諸星大二郎の暗黒神話3部作の1つ『徐福伝説』のイメージが強いので、墓前でもなんとなく諸星大二郎の絵面を思い浮かべてしまっていた。

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墓地の裏門。

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敷地には天台烏薬(てんだいうやく)という樹が植えられている。中国の樹で漢方薬の原料に使われるものだという。

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これが天台烏薬。

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墓前の池の前にも天台烏薬の垣根がある。

この池には八つ橋ふうの石橋があり、「和・仁・慈・勇・財・調・壮」と彫られた7本の石柱が立てられていた。

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この公園がある場所にかつて7つの塚があり、それが徐福の従者のもので、それぞれの徳を表わす文字だというようなことらしいが、このあたりはもう本当のことなのか町おこしででっち上げたストーリーなのかよくわからない領域。

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公園内には売店がある。

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妻がむかし新宮で購入した徐福の手ぬぐいを気に入っていて、ここで買えるのではと入店してみたが扱っていなかった。

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これがその手ぬぐい。

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売られているのは、解像度が低かったころのような中国土産。

こちらはスポンジでできたヌンチャク。

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手の中で廻す鉄球。

むかし、持ってたなぁ。

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風水羅盤など。

コレといって響くものはなかった。

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敷地内にあったトイレ。

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なお、駐車場は公園前にあり、観光客は1時間まで無料。

(2024年12月15日訪問)