高越大権現の神橋

断崖にかかるH鋼の太鼓橋。

(徳島県つるぎ町一宇蔭)

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貞光川の上流の風景。

貞光川の南北の流路は先行谷なので、谷底に平野部が一切ない。離合できない1車線の国道が延々と続くのだ。

まるで岩でできた門のような地形で、岩戸という地名がついている。

斜面に人家と段畑があった。

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私がこれまでに見た中でも最も厳しい畑のひとつだ。

家に上がるまでも急斜面で、モノレールが設置されている。

雨のたびに畑の土が下に下に流されるから、この畑を耕すのは、常に土を持ち上げる作業の繰り返しだろう。

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さて、そんな厳しい風景の場所に赤い鉄骨橋が架かっている。

両岸の橋台はほぼ絶壁で、橋桁だけで支えられた太鼓橋のような造りだ。

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橋は神社への参道になっている。つまり神橋。

高越(こうつ)大権現 一宇(いちう)岩戸分霊所」とある。

高越山の山頂は現在は寺院だが、役行者が開基とされる山岳信仰なので、分霊が神社であっても不思議ではない。

さっそくお参りしてみよう。

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橋の下は青黒い渕。

土釜と呼ばれる滝からこのあたりの谷でいつか泳いでみたいと思っていたが、都合よく河原に降りられる場所が見つからなかった。

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対岸は絶壁だが石段と手すりがあるので問題なく歩ける。

たぶんこの道は林業などの道ではなく、神社へ行くだけに作られたものだろう。

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神社といっても籠り堂のようなものだった。

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お堂の前にはバルコニーのような構造があったようだが崩落してしまっている。

一応、懸崖造りみたいな神社だったのかな。

谷底に座布団が落ちてるのだけど、あそこまで取りに行く勇気はない。

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籠り堂の内部も荒れ放題。屋根も雨漏りしてしまっている。

どこかで修繕しないと建物ごと谷底に崩れ落ちてしまいそう。

Google ストリートビューを見ると2014年に橋は通行止めになり、2021年にもそのままの状況だ。

(2009年01月18日訪問)