貞光中横の流れ橋

橋脚も回収するタイプの流れ橋。

(徳島県つるぎ町貞光東浦)

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吉野川の支流、貞光川。全長は約25kmあり、吉野川の支流のなかでは大きな川。この谷をどこまでもさかのぼれば徳島県の最高峰、剣山へ至る。

その川の渓口集落、貞光町の市街地については以前に紹介している。この貞光川の風景は、うだつの町並みのすぐ東側になる。

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川の土手、国道438号線を走っていたら、川の中に流れ橋が見えた。

川の東岸から対岸にある貞光中学校や貞光小学校へ通学するための橋ではないかと思われる。もしくは、東岸の住民が徒歩でマチに出掛けて買物をするというようなときにも使うかもしれない。

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近くには他の橋もあるので、この流れ橋がないとすぐに困るというほどではなく、日本全国の平均的な感覚で言えば、別に他の橋を渡ればいいじゃん? という感じなのだ。

でも、あったらあったで便利であることには違いない。もしかしたら、これは自治体や国の管理外の「勝手橋」なのかもしれない。と、いうのも1/25,000地形図にも、GoogleMapsやMapionなどの民間地図にも橋が記載されていないのだ。

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中学校側から東岸を見た様子。

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橋桁は波打っていて、独特の雰囲気がある。

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この流れ橋には、これまで紹介したいずれの流れ橋にもない特徴がある。

それは橋脚に基礎がないのだ。つまりこれは土木構造物ではなく、河道に置いてある「物」である。

増水時には橋桁だけでなく、橋脚も流れるのだ。

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橋脚は溶接されたH鋼で、4本が1セットとなって自立するようになっている。

そして橋脚にもケーブルが結びつけられているのだ。

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ケーブルは堤防にアンカーで取り付けてある。

ストリートビューを見るとこの橋はかなりの頻度で橋脚ごと流されていることがわかる。

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2008年7月6日に通ったときは、橋脚だけが川岸に並んでいて、橋はまったく利用できない状態だった。

これだけ壊れても定期的に作り替えられているのだ。

(2007年05月26日訪問)