長代の流木捕捉工

増水時に流木を止める堰堤だといわれている。

(徳島県神山町阿野)

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駒坂橋を過ぎて県道を800mくらい進んだところに、鮎喰川を見通せる場所がある。川が大きく蛇行しているので、道路から川が正面に捕らえることができるのだ。

先行谷は狭く急峻な地形で平地はほとんどないから、人々は川筋のわずかな土地に暮している。

徳島市街からあまり遠くない場所に、こうした険しく美しい風景があるのだ。

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その美しい渓谷もいったん大雨が降ると、想像もできないような厳しい姿を見せる。

鮎喰川の川辺に住むということは、家を建てるにしろ、田畑を作るにしろ、この川の猛威をうまく避けられる場所を選ばなければならない。

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鮎喰川を展望できる場所の近くに沢水を飲める水場がある。

➡ 場所

駒坂橋ルートを通らずに県道を歩くお遍路さんがのどを潤おせるようにいつもきれいに清掃され、カップも用意されている。

この水場の横には小さな沢があり普段はチョロチョロと水が流れている程度なのだが、、、

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いったん大雨が降ると、川のようになる。

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普段は水がない森の中が河道になるのだ。

県道の橋の上からはこうして気楽に写真を撮っていられるが、恐ろしい風景でもある。

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水場からさらに2kmくらい上流。

渓谷が非常に狭くまったく人家がない場所に、地図を見ると「(せき)」の記号がある。

この堰は奇妙な堰なのだ。砂防堰堤のような形をしているが堤体の最も下に大きな開口部があって川の水はその穴をそのまま通過する。堤体の前後の高低差もない。つまり水を溜めるでもなく砂を溜めるでもなく、まるで橋のように川の水は素通しなのだ。

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GoogleMapsの衛星写真で見るとこんな具合だ。

実は私はこの堰堤の穴を泳いで抜けたこともあるのだけれど、写真を撮り忘れている。ホント何をやっているのだか・・・。

神山町の人に聞いたところ、この堰堤は大水の時に流木が下流に迷惑をかけないように食い止めるための流木捕捉工だという。流木捕捉工だとすればよくあるものとはかなり違った構造だ。

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ただ2009年8月の台風では堤体自体が完全に水没した。

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ほとんどの水量が水通しを越流しているので、これだと流木も止まらずに流れてしまうだろう。

(2009年08月09日訪問)