島村の板倉

天明2年築の高床の板倉。

(群馬県伊勢崎市境島村)

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つづいて、私的な島村観光3点セットの最後のひとつ、島村の板倉へ。

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板倉は個人の家の庭にあるので、許可をもらって見学させてもらう。

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「蔵」といえば一般的には土壁の土蔵を指すが、「板倉(いたぐら)」はの柱と壁板だけでできた、穀物専用の蔵である。米を米俵の形態で貯蔵するのではなく、モミの状態で直接蔵の中に備蓄する巨大な籾櫃であり、現代でいえばサイロのようなものともいえる。

壁の板は差し込み式で、籾を入れながら板を足していき、逆に、取り出すときは板を抜いていくというものだから、蔵の出入口や籾の取出口などはない。建物の4面がすべて壁だ。

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案内板によれば、天明2年(1782)年築と推定されるという。

建物は現在もかなりしっかりしていて、230年も経っているようには見えない。木材の地肌の年代感としてはその半分くらいの感じがする。

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裏側から見たところ。

内部は3区画に分かれているという。

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高床部分にはネズミ返しのような構造は見られない。

案内板によれば「このような構造をもった建物は群馬県内ではこの板倉だけである。」という。高床が珍しいのか。

当サイトでは過去に白倉の板倉を紹介しているが、確かに白倉の物件は高床になっていなかった。板倉というだけであれば、探せばまだかなりあるのではないかという気がする。

現在、島倉の板倉は立入禁止になり通常は見学できないという投稿がネットに見られる。ストリートビューを見ると、このページの最初の写真の入口の案内板も撤去されている。田島弥平旧宅の世界文化遺産登録により観光客が増え、地権者の負担が増えすぎたのかもしれない。

どうしても見たい場合は、敷地に入らなくても西側の公道から垣根越しに見ることができる。

(2012年12月28日訪問)