日本の天然植物繊維に麻というジャンルがあり、主だったものは
徳島県には大嘗祭の際に麻布を献上する家があり、そこでは実際に麻が生産されるといい、一度くらいのその地を訪ねてみようと思っていたのだが、結局行かずじまいで徳島を離れてしまった。
群馬県にも岩島麻という麻の生産地があるので、見に行ってみることにした。
場所については吾妻地方ということ以上は書かないでおく。まあ、わかりにくい場所と言っておこう。ただ私は日頃から地域を細かくウロチョロしているので、誰かに教えられなくても場所はわかった。
そして、別に狙い定めて行ったわけではないのだが、その日は偶然にも麻の刈り取りの日だった。
恐る恐る近づいてみたら、怒られるというのでもなく、普通に見学できた。
ただし写真をblog等に掲載するときは、背景の山が見えないようにするように言われた。山並みが写っているとそこから場所を特定して「おかしな人」が来てしまうからとのこと。
圃場は厳重にガードされているので、たとえ場所がわかったとしても、金網から手を伸ばしたら葉っぱを盗れるんじゃないかとか、近くに種がこぼれて自生してるんじゃないかとか、不届きな想像はしないほうがいい。そういう可能性はゼロだから。
圃場はとても小規模で5アールほど。家庭菜園よりはちょっとは広いが、いっぱしの農家が真剣に耕作する畑というレベルではない。岩島麻の繊維は神社の神事や文化財の古布の修復などに使われるというが、生産量が少ないから簡単には入手できないだろう。
麻は根から引き抜かれ、葉を落としたあと、逆さまにして積み上げる。
一般的にこうした積みかたは作物を乾燥させる目的で行うことが多い。
見慣れない鎌が使われている。
葉打ちという、葉を除去して茎だけにする作業に使う専用の刃物ではないか。
釜を使っているところ。
茎を一定の長さに切り揃える道具か。
実際にはビニールテープで目印を付けた竹を添わせて押し切りで切断していた。
切り揃えられた茎は束ねられる。
「
麻釜は木でできた樽みたいな道具だが、内部で薪を燃やして湯を湧かしている。
構造は昔の鉄砲風呂桶そのもので、それを小さく、深くしたものと考えればいい。
丸い穴は煙突。
右側の風呂のフタみたいなところを開けて茎を突っ込む。
茎を突っ込んでいるところ。入れている時間は2~3分。
これは繊維を採るために柔らかくするのが目的ではなく、植物の細胞を殺して、次の工程で腐りやすくするためだそうだ。
茹で上がった茎は広げてさましておく。
きょうはたまたま作業をしている日におじゃましてしまったのだが、後日、ワークショップがあるというので改めて出直すことにした。
ワークショップ当日。
当ページ右上の地図はワークショップ会場を指すようにしてある。
この道具は県内各所の民俗資料館で見かける。戦前には各地で麻の栽培が行われていた。私が住んでいる町内でもむかし麻を作っていたという農家は普通にある。
ワークショップの様子。保存会の人たちが手際よく茎を加工していた。
これは「麻はぎ」といって、根本側を折ってそこから一気に表皮を剥いでいく。
左のカゴの中には折り取った茎がたくさん入っている。
右側に積まれている、表皮をはぎ取ったあとの木質部分が「
お盆になるとスーパーで売ってる白い枝がこれ。もっともスーパーで売ってるのは中国産の輸入品だが。
次に「
「麻挽き台」というまな板みたいな道具の上に表皮を根元を手前に置き、右手で「麻かき」というヘラで押さえて、左手で引っ張ると、靭皮の細胞と植物繊維が分離される。
保存会の人がやるのは簡単そうに見えるけれど、実際に体験してみたら全然うまくできなかった。
切れてしまったり、繊維がほんの少ししか残らなかったり・・・。
出来上がった繊維を「
精麻からごく細い繊維を引き裂いて紡いだものが麻糸。つなぐ部分は繊維をさらに細く裂いてより合わせる。この作業を「
紡いだ糸は「
会場に展示されていた道具。
麻挽き台。
麻かき。
麻刈鎌。
これは使ってるところを見せてもらったやつ。
麻釜。
こちらも使っているところを見せてもらったやつ。
ていうか、展示写真、山が写ってるじゃん!
(2012年07月29日訪問)
