2022年の早春、横浜から友人が遊びに来たので高崎観音山へ行ってみた。一番の目的は洞窟観音だったのだがCOVID-19のため臨時休業中だった。そのまま次の目的地である白衣大観音へ。
大観音に車で参詣するときは、大観音の近くの旬彩という土産物屋の駐車場が便利。駐車料金は500円だが、駐車券がクーポンになっていて店内の買い物に使える。帰り際に焼きまんじゅうとかかき氷などを食べるのに使えるので、私は白衣大観音に来るときはほぼこの駐車場を利用している。
大観音に向かうが、あの華やかだった土産物屋街もCOVID-19のせいでほとんどが休業している。
早くコロナが終息し、にぎわいが戻ってほしいものだ。
観音さまへのスロープの右側は浅間山の溶岩を積んだ造園になっている。
途中に人工の瀧がある。
ポンプで循環させているのか、あるいは、水盤舎などの水道の掛け流しなのか、一応水があった。
太鼓橋の下にはなぜかゾウがいる。
境内に到着。平日ということもあり参拝客は少ない。
いきなり観音さまへ登らず、まず先にお寺の本堂にお参りしよう。
観音さまの足下にあるお寺、慈眼院。
元々は和歌山県の高野山にあった塔頭のひとつだったのを、大観音建立と共に高崎に移転させた寺だという。
本堂は2階建てで階下が事務所、2階が本堂という作りになっている。まだ新しい。以前は平屋の方丈のような建物だったような記憶がある。
石段を登ったところにあるのは大師堂
本堂は正面2間が吹き放ち。
天井からはたくさんの釣灯籠が下がっている。
格子戸があり、室内が見える。
外陣、内陣にわかれているいわゆる本堂形式。
各種おみくじが売れれているが、仏像のガシャポンがあるのはめずらしい。
この本堂前から見る白衣大観音がいちばん姿が美しく見える。
私は群馬で生まれ育ったせいか、大観音といえば高崎のこの観音さまがまず思い浮かぶし、姿のバランスも優れているように感じてしまう。
この大観音を作ったのは高崎の大実業家、井上保三郎という人物。昭和9年に着工し、昭和11年(1936)に竣工した。内部に上れるRC造の大観音としては日本で最初のものであった。原型を制作したのは伊勢崎市の彫刻家、森村酉三。
工期は洞窟観音とも重なっており、この時期に観音山が一大観光地として開発が進んだことがわかる。
足下には護符売り場と水盤舎がある。
立地的に榛名山方面の眺めが良さそうなものだが、周囲の樹が伸びてしまっていて、景観はいまひとつ。
たぶんこの大観音が出来たときには、上越の山並みまでが一望できたのだろう。
観音さまの手に紐が結ばれている。
これはよくある善の綱ではなく、バレンタインデーからホワイトデーにかけて行われている赤い糸祈願イベント。
カップルで観音さまに登ると別れるという都市伝説があるそうで、そのネガティブなイメージを払拭し、若い人に来てもらうために毎年行われているという。
巨大なおみ足が近くに見える。
胎内拝観は基壇の左側に入口がある。
拝観料は大人300円、子ども100円。安い!
観音さまの背後から入るようになっている。
胎内にはコンクリ像の仏像が配置されている。
ただ階段を登るだけではなく、飽きないように設計されている。各像を収納している厨子の形も少しずつ変えてあるのがにくい。
これが最初の設計から含まれていたのだとすれば、すごく先見の明があったと思う。
では登ってみよう。
階段は勾欄付きで赤く塗られていて感じがいい。
観音の構造はRC造のラーメン構造。
内側から衣紋の裏側の造形が見えている。
とてもしっかりした作りで、昭和11年という古さを感じさせない。
階段は直線の鉄砲階段で、螺旋階段に比べると登りやすいが、ちょっと単調になってしまう。
途中にあった摩利支天像。
最近お色直しされたのかとても鮮やか。
全行程中、唯一、階段に変化があるのがこの場所。
観音さまの手の部分へ入れる通路があるのだ。
残念ながら通行禁止になっている。
これは私が子どものころから通行禁止だったような気がする。暗いところに階段があるので転ぶ人が多かったのか・・・。
ここはぜひ通れるようにしてほしいものだ。
同じような階段が続く。
胸のあたりまで来たかな。
だんだん狭くなっきた。
それまで対面通行できた階段が一車線に。
最上階に到達。
観音さまの肩のあたりで、9階になる。
個々には小さな窓があり、四方を覗くことができる。
本堂と門前町の方面。
高崎市街地がよく見える。
帰りは同じ階段を下りる。
階段の中央に手すりがあり、全体としては右側通行が推奨されているみたいだ。
胎内巡りが終わると、基壇の後ろの階段から外にでるようになっている。
観音さまの背後には小さな山頂があり光音堂というお堂がある。
構造的には六角堂である。
祀られているのは、京都嵯峨清凉寺の観音像を写したものだという。
その横には石造の宝塔があった。
群馬では赤城塔と呼ばれる形式の塔身が樽型になっているタイプのもの。
(2022年02月04日訪問)