清見寺奥の院・仏ヶ滝

札所21番。洞窟の中に寺務所が!

(香川県小豆島町神懸通乙)

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周遊道路、小豆島ブルーラインをさらに東へ。

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石門洞の入口があったところからすぐに次の寺が見えてくる。遠目には竜宮門っぽいものが見える。

清見寺の奥の院、仏ヶ滝だ。

「滝」といっても水が落下する瀑布ではなく、小豆島ではいくつかの山岳寺院に「○○滝」という名前が付いている。そういう言い方の理由は聞いたような気もするが、どうもはっきりとは思い出せない。瀑布のことを現代では「たき」というが、平安時代には「()る」を語源として「タル」と言っていた。一方、現在の「タキ」は「(たぎ)る」から来たという。小豆島の「○○滝」は「急傾斜」というような意味かも知れない。

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すぐに寺のまえに到着。

背後に巨大な集塊岩の柱がそそり立っている。その手前にある大きな唐破風は、どうやら洞窟への入口っぽい。

早くも2つ目の洞窟寺院発見。

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短い石段を登って境内に入ると左側に信徒休憩所のような建物。

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ほかに本堂のようなものはなく、洞窟が本堂になっているのだ!

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洞口の右側にある、竜宮門っぽいものは鐘楼だった。

袴腰の部分が亀腹のようになっていて、屋根の上には九輪。つまりこれは竜宮門というより、宝塔型の鐘楼なのだ。

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さっそく洞窟へ入ってみよう。

これはたぶん元々自然の洞窟があったのを、掘って広げたものじゃないか。

入口は狭いが中は広くなっている。

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洞窟の中央には掘り残して造った岩の柱がある。そこに本尊の不動明王が祀られていた。

こういうしつらえが上手いなぁ。

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背後にはステージのような構造があるが、鎖が張ってあって登ることはできない。

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あれ~? 洞窟の中で護符を売ってる?

しかも陳列台の後ろに障子があって、中から光が漏れているではないか。人が常駐しているのだ!!

洞窟寺院の中に人が常駐って、これまでほとんど見たことないんですけど~

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洞窟が本堂であり、庫裏でもあるとう素晴らしい洞窟寺院だった。

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続いて、宝塔型の鐘楼へ行ってみる。

なんと、こちらは二重螺旋構造。

もしね、この階段の途中に仏龕の数枚でも貼り付けてくれたら、即「さざえ堂認定」できるのだが。

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楼上に登ってみた。

上りと下りが別々の階段になっているのだ。

いや~、わかってるね。すっごくさざえ堂を意識した設計だ。

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鐘楼の楼上から庫裏が見えた。

完全に岩の中にめり込んでいる。

岩の途中から煙突が出ているのが興味深い。もしかして内部に2階でもあるのかな。

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楼上から見た境内の様子。

決して大きい寺ではないのだが、本堂の洞窟と、二重螺旋の鐘楼で大満足なのであった。

ここからは寒霞渓の山が見渡せる。

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小豆島の地質は標高の低い部分は花崗岩とそれが分解した土壌、標高の高い部分は集塊岩の上に安山岩が乗ったテーブルマウンテンのような地形。対岸の香川県の海岸沿いに多く見られる、いわゆるメサだ。

(2006年10月07日訪問)