パアンの建材店

木造在来建築の資材を売っている。

(ミャンマーカレン州パアン)

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あるとき市内で仕事の買い物をしていたら、隣りに建材店があることに気付いた。木や竹、椰子の葉などの、在来建築用の建材を商っている専門店だ。

建材店は以前にトンェイン町でも紹介しているが、きょうは仕事の途中なので通訳さんがいる。隣りで買い物が終わるまでのわずかな時間に、通訳さんに建材の値段を訊いてもらった。

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中央に立てかけてある赤茶色のものはインペアモウ。インペの葉を竹串で編んだ屋根材。先に紹介した石灰工場の屋根がこれ。

安価で耐久性のない屋根材である。1年ごとに葺き替えが必要。裏表を入れ替えると2年もつというようなことを言っていたが、そんな面倒なことができるのだろうか。

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高さと幅はきっちり揃っていて、丁寧な仕事がしてある。

値段は1枚100チャット(8円)で、50枚単位での販売。

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こちらはオオギヤシの葉を編んだ屋根材テンユエ。

インペよりも耐久性があり、3~5年もつ。

1枚160チャット(13円)。

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この販売所の屋根自体がテンユエで出来ている。

よくある波板鉄板の屋根は雨や日差しに強いが、屋根材からの熱射があるので天井を張る必要がある。テンユエは空気層もあり熱を持ちにくいから天井なしでも快適。レストランの屋根に使われていることがある。

そいういう意味で決して侮れない素材だ。

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ワーテイエン。日本でいう網代(あじろ)。こちらでは民家の壁などに使われる。粗末な家だけがこうした網代で出来ているわけではない。ミャンマーの気候を考えると最適な壁材ではないか。

サイズが2種類あり大が6,500チャット(520円)、小が4,000チャット(320円)。この写真は大のほう。

竹だし、壁材なので長持ちするだろう。

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柱材。1本4,000チャット(320円)。

このタイプの木材は石灰乾燥小屋でも使われていたな。これは納屋などに使う柱で、これとは別にもう少し高級なピンカトゥという柱があり、それは7,000チャット(560円)だという。

日本でいえば足場丸太に近い用材だと思うが、クオリティは高いとはいえず割安感がない。それはこれまでもミャンマーの材木に何度か感じていたことだ。

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竹材。細い竹と太い竹がある。細いほうの竹は芯が中空ではなく身が詰まっている。垂木などに使うほか、アーチパイプのようにしならせて使うこともできる。太い竹ほうのは柱に使うことができる。

細い竹が1本350チャット(28円)、太い竹は400チャット(32円)。

木の柱との価格差がすごいな・・・。

たとえば、この店舗のような建屋(推定100坪)を作る場合、垂木に使う竹や屋根葺き材は安いので、全体で50万円ほどで建築できるという(工賃込)。もし竹柱で作ればさらに安くあがる。ただし屋根材は耐久性がないので保守が面倒そう。住宅として草屋根の家に暮すのは大変だろう。

日本人が住めるような、レンガ積とコンクリートの壁、波板屋根、タイル床、防犯性が高く清潔な住宅はそれなりに建築費がかかり、さほど立派な家でなくても建築費は300~600万円くらいは必要だと思う。

各資材の価格は2017年現在の値段。

(2017年10月09日訪問)