なりゆきでガドー村の寺町巡りみたいなことになっている。それにしてもこの村はお寺が多いな。この少し北にあるコーナッ寺院は、蒸気船で財を成した豪商が建てた寺だというが、その他にもこの村には成功者が多いのだろうか。
ミャンマーの仏教徒にとってお寺を建てるということは最強の功徳だ。お金でこの世の何でも手に入る立場になった金持ちは、来世のための投資をするのである。
この僧院はたぶんガドー僧院といって、方形井戸の向かいにある。
方形井戸とレストランがある場所は日本の宿場町の桝形みたいになっていて、村の入口のシンボリックな地勢なのだ。そこにあるということは、村の中で古い僧院なのだろう。
山門の中はベンチになっている。
屋根は切妻の妻入りで、奥に長いので、「縦山門」とでも名付けたい門である。
山門の両側にはパゴダがある。
山門を入って右側、また苔むしたパゴダがあった。
ボードー僧院にも苔むしたパゴダがあったが、珍しい物件だ。
境内に入って正面に僧房、右側に仏殿。
僧房の壁にはモン族の王と思われる人物のレリーフがある。
僧房は2階建てでかなり複雑な屋根伏せ。
仏殿は立ち入り不可だった。
(外観の写真撮り忘れ)
仏殿の内部はたぶん過去二十八仏。
それよりも、仏殿左側にならぶ廃虚のような建物が気になってしまう。
手前が仏殿、奥が鞘塔だと思う。古いレンガ積み造で、屋根は抜け落ちている。
壁は漆喰がはげ落ちたのか、もともとレンガの打ちっぱなしなのかははっきりしない。
ものすごい廃虚感。
ミャンマーは暑季に猛烈に加熱され、雨季には毎日の湿気にさらされるため、建物の寿命も短い。パゴダなど数年ごとにペンキを塗り替えないと、すぐきたならしくなってしまうのだ。
だからこの廃虚も、数百年放置されたというのではなく、せいぜい数十年といったところだろう。
中には自由に立ち入れる。
木の根が建物にからんで、いっぱしの遺跡の風格。
私はある程度現地化したのでペンキでギラギラになったパゴダや電飾された仏像にも風情を感じるが、たぶん一般的な西欧人や日本人はこういう廃院に風情を感じてしまうし、見たがるはず。
ミャンマー人の目にはどう映るんだろう。「残念だなぁ、早く直せばいいのに」みたいに思うんじゃないだろうか。
この建物は天井のドームもレンガ積みなので、天井は崩落していない。
にもかかわらず、中の四角の塔はかなり苔むしている。メンテナンスしないと屋内でもこんなになっちゃうのか。
でもそのおかげといってはなんだが、日本人からすると「とてもいい感じ」に仕上がってきている。
続いて隣りの仏殿を見てみよう。
こちらは屋根が木造の小屋だったのだろう。完全に抜け落ちて室内には樹が育っていた。最近樹の枝打ちをしたみたいで、落とした枝が堂内に雑然と積まれていた。
この枝を片づけたらかなりのフォトジェニックな場所になると思うのだが。
鞘塔の裏側に回ってみた。
一応、周囲の樹は切っているようだ。
それにしてもこれはわざとなのか、それとも予算不足でメンテナンスできなくなった状態なのか、どちらなのだろう。
これまでミャンマーでで400ヶ寺近い寺を見てきたが、ここまでの廃虚は初めてだ。
(2019年07月21日訪問)
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