タトンの出家式

ゾウに乗った出家式を見た。

(ミャンマーモン州タトン)

きょうは日曜日。パアンで進めていた仕事も山場を越え、日曜日に休めるようになった。今回の滞在で3回目の終日休みだからまだ行ったことのない地域へ遠出をしたいところ。でも月曜日に職場で大きなイベント(政府要人の視察)があるのできょうはあまり冒険せず午前中だけ無難な場所で過ごし、昼過ぎには宿に戻っていようと思う。

そこで向かったのがモン州のタトン。パアンからは片道50km。近い距離ではないが、急用があっても1時間半くらいで戻れる場所。初めてタトンを訪れたころはずいぶん遠く感じたが、いまでは無難な町になった。

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タトンの町は長い山脈の西側に広がる。私はこの山脈をタトン山脈と呼んでいる。山脈は南北に約50kmの長さがあり、パアン方向からタトンの町に入るには鞍部にある低い峠のような場所を通る以外にない。この場所を私は「タトン峠」と呼んでいる。

きょうはこのタトン峠の北側の尾根の寺々を見るつもりだ。以前、この尾根にあるミャザベィパゴダの山上伽藍を見たことがある。その頃は未舗装だった登山路がその後舗装されて山上まで容易に行けるようになったみたいなのだ。

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タトン峠を通行中、ちょっと車が渋滞していた。出家式の行列が通っているらしい。

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あれま? ゾウに乗って出家してる人たちがいる!

エインドゥで出家行列を見たとき、「貧乏な家の子はトラックの荷台で出家、金のある家は馬に乗って出家、さらに金のある家はゾウに乗ることもあるよ」と聞かされていたが、こんなにすぐにそれを見ることになろうとは。

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ここは、4年前に杖ランタン祭りを観たのと同じ場所だ。何だか特別な縁みたいなのを感じる。

「出家式」のことは「得度式」とも言うけれど、得度式というと日本でお寺の中で行われる儀式のイメージがあるので、こうした行列やお披露目を含めた広義な行事は、私は「出家式」と呼ぶことにしている。

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ミャンマーの仏教徒にとって子どもを出家させることは、功徳を積むことなので、そのためのお金は惜しまない。

日本の結婚式みたいにおそらくこの日のために貯金をしなければならないのだろうと思う。

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日本で公道でゾウに乗ろうと思ったら、関係各所の手続きがいろいろと必要そうだけど、モン州ではそんな許可もないのだろうな。

ゾウはすごく揺れていて、決して乗っていて楽な乗物ではないだろう。

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ちなみに、出家式には暦で決まった日付があるわけではなく、乾季などの気候のよいときに寺ごとに行なう。この季節には方々で出家式が行われるようで、トラックにポニーを乗せて移動している馬レンタル業者をよく見かける。

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行列は川沿いの細い道へ。

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お寺へ直行するのかと思いきや、いったんお旅所(おたびしょ)みたいなところへ入っていく。

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商いをやっている家の2階のバルコニーへ入っていく。

ゾウから降りるためにバルコニーを借りるみたいだ。

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ゾウが家から出てきた。

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木陰で休憩。おつかれさま。

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ポニーも商いをやっている家で休憩。

ポニーはこのままどこかへ連れていかれたので、もう動物のパレードは終わりなのかもしれない。

私も敷地に入ってみたが、出家する人々はこの家にはおらず、いつのまにか隣りの家に移動していた。

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隣りの家に行くにはこの狭い道でゾウの横を通らないとならない。

ゾウのしっぽが顔に当たるほどの距離。こんなゾウの近くまで行ったのは初めての体験。

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隣りの家、にぎやかに楽器を鳴らしている人々が集まっていた。

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出家する人たちはこの家の2階にいる。

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上がらせてもらった。

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出家する人たちは、仏壇の前にお雛さまみたいに並ばされていた。

まだ剃髪はしていないので、ここは単に休憩とお披露目の場所なのだろう。

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子どもたちは嬉しいというより、疲れてばつのわるそうな表情。自分も七五三のときにこんな顔してたんだろうな・・・。

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建物の1階(?)では食事が振る舞われていた。

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行列していた女たちは村へ帰っていく。お寺までは一緒にいかないようだ。

私もきょうはここまでで、最後までは見ずに立ち去ることにした。

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ところで、この小川は水がすごくきれいだ。

名前はニィタ川か。すぐ上流に小さな貯水池みたいなのがあって、そこから流れているのだが、暑季だというのに豊かな水があり、しかも透き通っている。

パアンではこういう小川はまったく見たことがない。

(2019年03月17日訪問)