トゥワナボゥミナンウゥパゴダ

色鮮やかなナッ神像が多いパゴダ。

(ミャンマーモン州タトン)

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不気味な山火事を見て下山。ここまで来ればもう野火に巻かれる心配はない。

シュエゼディパゴダのふもとにある残りの建物を見ることにした。ここはパゴダを中心とした寺院みたいだ。修行僧はおらず、僧侶は常駐している。

境内のスピーカーからは、お経ライブが流れていた。

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仏旗がたくさん立っていて、全体的に色彩が豊かな境内だ。

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斜面の上には色鮮やかなパゴダやお堂が点々とある。

わずかな標高差だからあそこまでは行こう・・・。

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石段があった。

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どうやらこのお寺のメインのパゴダはこの石段の先にあるみたいだ。

金色の仏塔が見える。ここはパゴダまで行くべきだとわかっているが、どうにも登れない。

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せめて気力を振り絞って、斜面の途中のお堂を見ていこう。

これはタイネンシンかな。お寺を守る女神。

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地球儀型パゴダ。

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大陸や島の形はかなり適当だけど、日本はそれなりの位置、それなりの形で描かれている。パゴダ職人、日本が好きなんだろうな。

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またいたよ。ヒゲのおっさん。

きょうは特によく見かける気がする。

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小さなお堂。

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中には猫目の青年が槍を持っている。

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木陰にあった仏殿。

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内部には2体の仏陀。

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ほかに仏陀を拝んでいる人が2人。さっきもムチャリンダ仏を拝んでいる像があったので、同じ作者なのだろう。

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本坊のほうへ来てみた。

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内部ではお坊さんがお経のライブ放送中。

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本坊の左にも小さな祠が2つ。

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右の部屋には夜叉(?)。

このお寺は仏陀以外の像が多いな。

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左の部屋にはナンカライメイド。

ナンカライメイドはナッ神の一柱で、殺された水牛が化身したものと考えられている。

ナンカライメイドはときどき見かけるので、その伝説を紹介しておこう。

むかしモン王国の王宮でたくさんの水牛を飼っていた。その水牛の中にリーダーの雌牛がいた。その雌牛は牛飼いが牛舎から水牛を出すときにも他の水牛たちを先に行かせて、自分は最後に牧場に出るようにしていた。あるときなぜか雌牛が牛舎から先に出て、戸口で立ち止まって動かなかった。他の水牛たちはその雌牛をよけて牧場に出るしかなかった。

よく見るとその雌牛の足下には赤ん坊が置かれていた。その赤ん坊はモン王国の第一王子だったが、跡目争いの陰謀に巻き込まれて水牛に踏み殺されそうになっていたのだった。賢い雌牛はそれを知っていて赤ん坊を守り、自分の乳を与えて養育したのだった。

その赤ん坊は無事育って王になった。

あるとき王が他国に遠征に出た帰り道、川を渡ろうとしたら、増水して動けなくなってしまった。背後からは敵軍がせまっている。すると水の中から女神が現われ「私との賭けに勝ったら川を渡らせてやる、もし敗けたら私の言いなりになれ」と言った。勝負は水牛のしっぽを期限内に1,000本集めることだった。王は1,000本を集めて女神に見せた。だが女神は数えるまえに1本を隠したため999本しかなく王は勝負に敗けた。女神は王に宝珠を渡せと言った。だが宝珠などあるわけがない。王が困っていると雌牛が言った。「私の頭の中にはその宝珠がある。私の首を切ってその宝珠を取り出しなさい」

王は雌牛を母のように大切にしていたので、それはできないと断わったが、最後には泣く泣く雌牛の首を切った。この水牛がナンカライメイドになったという。

ナッ神は恨みを持って死んだ人間が神になるという性質のもので、日本でいう怨霊と同じと考えてよい。菅原道真、平将門、崇徳天皇などがナッ神に相当する。

もともとは土着的な信仰だったものが、仏教と融合して仏教を護持する神のような位置付けになり、お寺の中に祀られている。そのあたりも、日本人的にはとてもなじみやすいものだと思う。

(2019年03月27日訪問)