さぁて、いよいよタトン山脈の山すそに取り付くぞ。山すそには1本の道があり、この道を北上しながら参詣可能な要素のある寺に次々に入って行く!
10日前に黄緑色の範囲を見終わっているので、きょうはピンク色のあたりが対象になる。
ちなみにこの写真の範囲は、きょうの全行程の1/4くらいだろうか。きょうは長い一日なのだ。
最初に目指す寺はコレ。
何かが碁盤の目状に並んでいるのが見える。たぶんチャウサという板碑で、お経だか仏教の歴史だかが書かれているものではないかと思われる。タトンだとシュエサーヤンパゴダの奥のほうにもあるやつだ。
ただ、寺の周辺が森になっていてルートがはっきりしない。適当に行ってみるしかない。
山門があったので入ってみよう。
ガンゴーニィノン僧院とある。
ガンゴーは、たぶん日本で沙羅双樹と呼ばれる花のこと。
寺の参道は左右が塀になっていて、そこに寄進者の名前が書かれている。
日本の神社の玉垣みたいな感じ。
参道の行き止まりは僧院になっていた。
ここは、私が目指しているお寺とは別だな。
目立ったパゴダや仏殿もなく、修行の場所というか、学校みたいな場所なので参詣はしない。
参道は一本道だったが、一ヶ所だけ脇道があった。
ここに入ってみるか。かなり頼りない道だけれど。
洗濯物が干してある路地を進む。
これ、道なんだろうか。人の家のニワなんじゃなかろうか。
道だかニワだかわからないような場所をひたすら走っていくと、
お寺に到着。
これが、先ほど衛星写真で板碑が並んでいると予想された場所。
お寺の名前はプゥマワダジャパゴダ。
山門は閉じているけれど、カギもかかっていないし、奥にお寺のおばちゃんがいるので、挨拶して入らせてもらった。
山門をくぐると屋根付きの回廊が続き、
短い石段を登るとそこがパゴダになっている。
パゴダの基礎に登るとパゴダを一周できる通路のような場所がある。この通路を
繞道から眺めると見えてきたのは、なんとドラゴンフルーツの畑。
板碑が並んでいるものとばかり思っていたが、なんと植物だったのだ。お寺の境内が畑っていうのは、かなり奇異だ。というのも上座部仏教の僧侶は基本的に労働をしないからだ。衣食住のすべてが信者の喜捨によって支えられ、僧侶は修行のみを行なう。だからお寺に畑を作ることは通常ではありえない。
もっとも田舎の寂れた寺では僧侶自らが建物の修繕している姿を見ることがあるし、絶対に働かないわけではない。
ドラゴンフルーツのピンクの果実はなっていなかった。果実はこのアロエみたいな葉の先端部分に垂れ下がるように実る。
パゴダ周辺を見てみよう。パゴダと対になるタコンタイは上部に地球儀が載っている。
パゴダは基壇平面が正方形で、基壇部分にも装飾が多い。その上の覆鉢部分はシュエダゴンパゴダ型。
基壇から降りてパゴダを一周してみよう。
サンダルを脱いできたのでちょっと足の裏が痛いが歩けない距離ではない。
鐘つき柱と板碑があった。
この板碑が並んでいると予想していたのだ。
境内には井戸。
庫裏もドラゴンフルーツ畑の中にある。
庫裏。
ここはもともと畑だった場所にパゴダが出来たのだろうか、それともお寺に畑を作ったのだろうか。謎のお寺であった。
(2019年03月27日訪問)
沖縄島建築 建物と暮らしの記録と記憶 (味なたてもの探訪)
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岡本 尚文 (著, 監修, 写真), 普久原朝充 (その他)
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