鹿野町を離れ、きょうの宿泊地である鳥取市へと移動する。
が! 鹿野町でもう1ヶ寺、立寄る予定だったのを忘れていた!!
雲龍寺で庭園を見せてもらったり、普段ならパスする裏山の神社に登ったりして、なにか成し遂げたような気分になってしまっていたのだ。
気がついたときはもう鹿野町を離れつつあった。帰路でもう一度、鹿野に立寄ればいいだろう。
時刻は6時40分。いくら日が長い5月とはいえ、さすが寺社巡りにはきびしい時間だ。だが、最後にもう一ヶ所だけ立ち寄っていくことにした。
鹿野町と鳥取市のあいだにある、御熊神社である。
里山の森の中にある神社で、昼でも薄暗いような場所。日が落ちてからの参詣は、さすがにちょっと写真が撮りにくい。
増感しているけれど、実際はもう真っ暗に近いのだ。
集落から里山に登って行く。途中に籠り堂のようなものがある。
本殿は山並みの小さなピーク付近にあり、斜面を直登するような恐ろしく急な石段がある。
だがその石段は崩壊して登ることはできない。なにせ急斜面に石を並べただけの石段なのだ。
だが石段の左側に新しく作った登山路があり、急ながらもなんとか登れるようになっていた。
それでも、落ち葉が積もっていてちょっと油断すると滑り落ちてしまうような登山路だ。三仏寺投入堂よりも過酷かもしれない。悪い夢に出てきそう・・・。
くずれた石段を横から見たところ。
勘の良い人はもうお気付きであろう。そう、これは切り石ではなく、柱状節理をただ並べただけのものなのである。
当然、基礎工事もしておらず、これでは崩れて当たり前というしろもの。
本殿に到着。
建物は一間社流造で、時代は見たところ明治くらいか、行っても江戸末期くらいだろう。
この本殿の裏側に柱状節理の露頭が見られる。この神社の御神体ともなっている。
神社好きと地質好きの両方のニーズを満たしてくれる神社である。
柱状節理は通常は縦方向に並んでいるが、ここでは丸太を積んだみたいに横に木口が見えている。案内板によればこれが珍しいのだそうだ。
香川県の女木島の柱状節理もこんなだったような。
それにしてもすごい参道だな。
(2005年05月02日訪問)
日本のお寺・神社 絶壁建築めぐり
単行本(ソフトカバー) – 2019/6/22
飯沼義弥 (著), 渋谷申博 (監修)
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