荒れた道を西へ走る。未舗装で砂利道なので、オートバイで走行するのはかなりきつい。だがこのような道でも路肩には砂利が敷いてない部分がある。おそらく僧侶が裸足で歩くための歩道ではないかと思われる。オートバイは主にこの歩道部分を走行することになる。とはいえ所々石が転がっているのでこの歩道部分だけを走るのも簡単ではない。
やがて尾根にパゴダが並ぶ山が近づいてくる。山の名前は現時点では不明だが、近くの村の名前を取って仮称チャウタロゥ山とでもしておこう。
山が近づくと、道に立派なゲートがある。
寺の門ではなくたぶん村境のゲートだろう。
村の中に入ると道路は簡易舗装に変わる。日本の感覚でいえば穴ぼこだらけのひどい路面だが、穴を避けるだけでよいのですごくありがたく感じる。
村の中心部に二間の大きな山門があった。僧院があるようだ。
二間の門というか、偶数の間数の門は日本ではほとんど見ることがない。日本では奇数が縁起がいいとされるからである。
ミャンマーではこのような二間の門をときどき見かける。道路の2車線に対応していることが多い。
中央には小さな仏塔が載っていて、内部に電灯がついている。日暮れ以降にここを通ったら、かなり印象に残る山門だろう。
さっそく入ってみることにした。
門を入るとしばらくまっすぐのきれいな参道が続く。すごく整備が行き届いた境内だ。
県庁とかそういっった公共施設内のような感じの手の入り方だ。
参道の途中にある塔頭と思われる建物。
入口の階段がおしゃれすぎる。
参道の突き当たりには大仏があった。
その横にはホテル並の豪華な僧房。
僧院というより学校のようなところなのだろう。こんな田舎でも僧院だけは豪華だ。
大仏の横には講堂があった。
その講堂の入口には作がありシカが飼われている。
何かくれるのではないかと寄ってきた。
お寺で動物が飼われているのは珍しい。シカはかつて、プゥテキ僧院でも飼われていたのを見たことがあるが。
講堂の内部。
壁は吹き放ちで仏旗がにぎやかに飾られている。
大仏の背後にはパゴダがある。
こじんまりとしたパゴダだが、表面の仕上げが丁寧で全体のバランスも優れていると思う。
ヤンゴンのシュエダゴンパゴダのミニチュア版かもしれない。
パゴダと対になるタコンタイ。
下部には四体の天部の神がいる。
パゴダの裏手の林の中に小道が続いていた。
林の中にはベンチが並んでいる。まるで公園のよう。
すごく手間のかかっている寺だ。だがこの田舎でこの公園を利用する人がいるとは思えない。こうした庭園の造形も仏陀を讃えるための設備なのではないか。
林を抜けると湖があった。
かなり広大な湖で、10ヘクタールくらいありそう。
湖の中に浮御堂とパゴダがあった。
パゴダは例の球体パゴダ。きょうの旅でもイーネィチャンダ僧院で見た。
お堂には船がないと行けないように見える。ウォイザーリンガーヤ僧院のように、ここにもいつかは橋が架かるときがくるかもしれない。
僧房の横に金色の二階建ての建物があった。
僧侶の住居ではないかと思う。その壁には象が僧にかしずいている写真が誇らしげに飾られている。
僧房の横のほうには、一般の参詣用と思われる伽藍がある。
金色に輝く仏殿。
その仏殿の入口をかざる、金色のニワトリ。
ニワトリは狛犬みたいに対になっていた。
ミャンマーに初めて来た観光客は、こういう変な像に面食らってしまうのだよな。私はミャンマーで200ヶ寺以上の寺を見てきて、もう空気みたいになってしまっているけれど、冷静になるとやはりこれは珍妙な像だ。
ボールト屋根の山門を持つ仏堂があった。
内部にはデコレーションケーキのようなパゴダが。
ミャンマーでは地味な堂宇だが、これだって日本にあったら相当目立つはず。
こういうものが田舎の、誰も来ないような僧院にいくらでもあるのだからミャンマーの寺巡りはやめられないのだ。
内部には仏足石が祀られていた。
この僧院の入口に山門の道をはさんで反対側にも門がある。衛星写真で確認してみると、仮称チャウタロゥ山に通じているようだ。
だが森の中に続く道は長く、路面は未舗装で走りにくそうだ。もう日暮れも近いのできょうはここを入るのはやめておこう。
どうやらこの仮称チャウタロゥ山へは、もう一度出直してきたほうがよさそうだ。
この僧院にはこのとき気付かなかった東エリアがあった。
(2016年12月18日訪問)
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