タンマサー村は1本の街道に沿った1kmほどに家々が並ぶ、日本でいうところの宿場町的な村である。
町並みの西端はタンマサー僧院に行き当たる桝形のような地割りになっている。
村の南はフンメ山脈に弓形に囲まれ、村の北にはジャイン川が流れる。つまり三方を囲まれた地形で、その中に人々がまとまって暮らしているのである。
その鳥瞰はタンマサー僧院の記事で紹介したが、近隣の中でも特に美しい景観の場所だと思う。
タンマサーの街道は、ジャイン川から家の敷地1軒分離れたところを通っている。つまり街道に面した家の裏手は河畔なのである。
そこには小さな河岸が続いている。そのひとつを紹介しよう。
ここは待合所のある、比較的立派な河岸。
港側からみたところ。
船を待ったり、荷の受け渡しをするのに、このような建物があれば雨季でも使いが手がよいだろう。
この日も、若い男たちがこの中でダラダラと何かを待っていた。
舗装道路が村々を結ぶまで、ジャイン川の舟運は重要な輸送手段だったし、いまでもジャイン川にはほとんど橋がないのだから渡船は欠かせない。
これは下流方向、つまりモーラミャイン市方向の風景。かつてはモーラミャインと船で行き来した時代もあったろうと思う。
同じ場所の上流方向。
ジャイン川の上流はカレン州であり、コーカレイ郡区へと通じている。
東西経済回廊の新ルートが、コーカレイとモーラミャインのあいだに新設されるまでは、ジャイン川がモーラミャインとコーカレイの最短ルートなのかもしれない。
河岸の前には何軒かのお店がある。
こちらは駄菓子屋。駄菓子屋と言っても、ミャンマーの田舎には高級菓子店があるわけではないから、「菓子屋」と言うべきなのかもしれない。
半年前に来たときにはなかった冷蔵庫が設置され、冷たい飲み物が手に入るようになった。ココヤシジュースを購入。250mlの缶ジュースが70円くらいするので、ミャンマー人の所得水準からすれば気軽に飲める感じではない。日本人が喫茶店でコーヒーを飲むくらいの出費なのだ。
ここは布や手芸用品を扱うお店。
とりあえず、衣食住の最低限が村の中で手に入る。
別の船着き場に行ってみた。
舟の整備をしている男がいた。
平底の舟にコールタールを塗っているところだった。
こうして防腐処理をし、同時に水漏れを塞いでいるのだろう。
別の場所では船底側にタールを塗っていた。
そのあと火であぶってなじませていた。大胆な方法だなあ。
(2015年11月29日訪問)
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