タラナ町の町外れで火葬場を見つけた。
本当に町外れという感じの場所で、隣り村のコーチュクラとの境界のほとんど人家のない場所だ。
日本でも火葬場は町外れにある場合が多いが、ミャンマー人にとっても遺体の処理にはケガレのような意識が働くのだろうか。
建物の構成はこれまで見てきた火葬場と同じ。
つまり、窯のある建物と、祭礼を行う葬儀を行う建物が連結しているパターン。当サイトでは、この葬儀を行う建物を「引導場」と呼んでいる。
引導場はこのように窯場と棟が直線的になっている例と、T字のように直角になっている場合とがある。
窯場。
これまでに見てきた火葬場では、いずれも窯場は高床式になっている。
理由はいまのところ不明。
引導場の中の様子。
奥にあるステージのようなところで、僧侶が儀式を行うのだろうと思う。
反対側は窯場の入口になっている。
つまり、儀式は窯に背を向けて行われるものと思われる。
窯の様子はカラゴン村で見た火葬場と酷似している。同じメーカーのものだろう。カラゴン村はここから近い。
ただし扉の丁番がカラゴンでは右にあったが、ここでは左にある。左利き用の仕様だ。
入口の樹の下には野道具が捨ててあった。昔、日本でもお寺の墓地の隅っこなんかに、こんなふうに野道具が捨ててあったなあ。いまは野辺の送りもなくなったので、こういう場面も見なくなった。
同じく入口にあったお堂。仏さんが焼けるまでの待合所だろうか。
カラゴン村の火葬場とほぼ同じ構成で、やや食傷気味であるが、村の火葬場は可能な限り記録していきたいと思う。日本でもかつては村にも小さな火葬場があったが、いまはもう見ることができなくなってしまった。退屈に思えるものでも、無くなってから「記憶しておけばよかった」と思っても手遅れなのである。
(2015年11月29日訪問)
民俗小事典死と葬送
単行本 – 2005/12/1
新谷 尚紀 (編集), 関沢 まゆみ (編集)
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