参道の途中には層塔を載せた、3間×3間の門がある。
(境内図⑨地点)
参道の南には鞘塔が並ぶ。
巨大パゴダの東門に到着。
ここからも回廊が延びて、パゴダに接続している。西門から一度入ったので、内部は同じようなものだろう。
ここからパゴダの外周に沿って北へ向かう。
パゴダの北に隣接している巨大な仏殿に到着。(境内図⑩地点)
この建物は平面が正方形で、1辺が100mある。
扉が開いているので、早速中に入ってみる。
仏殿の内部は壁のない大空間で、電気がついていないので薄暗い。
屋根の隙間から差し込む日光だけが明かりである。
建物には等間隔に3体の仏陀が収められていた。その意味では三仏堂と言っていいかもしれない。
コンクリの柱が前後左右に整然と並ぶ光景は神々しいが、どこかコンピュータグラフィックじみてもいる。映画『ロードオブリンク』とかの一場面に紛れ込んだような気分になる。
建物を通り抜けて裏口まで出てみた。
建物の裏口には渡り廊下で接続した東司(トイレ)があった。
これと同じ形の東司が3棟ある。
この仏殿は、大棟の数も3、屋根上の層塔の数も3、本尊の数も3、トイレも3つあり、すべて3組ずつで構成されている。
東司の手前には、大きな水槽があった。
トイレだけでなく、水垢離もするのか?
トイレはすごく清潔というわけではないが、まあまあ。
このレベルのトイレで不満を感じるようだと、カレン州の田舎を観光するのは厳しいかもしれない。
仏殿の軒には、なぜか大量の石灰が備蓄されていた。
仏事などに使うのだろうか?
建築資材置き場にしては、場所がおかしい。
仏殿の周辺では、水牛が放牧(?)されている。
白い水牛っているんだな。
水牛用の池もあった。
これから、北参道を通って、東へ進む。
東へ進むということは、また山上伽藍のほうへ戻るということでもある。
行ったり来たりになってしまうが、境内をすべてチェックするにはどうしてもこんな動きになってしまう。
北参道は、道と言っても踏み分け道のようなものがあるだけで、南参道や中央の大参道のようにはっきりと道路になっているわけではない。
(境内図⑪地点)
少し進んだところにある巨大な鞘塔。
これまで見た地味な色合いの建物と異なり、色鮮やかなペンキで塗られている。
単独で立て札が出ており、「သမ္မုဒ္ဓေဘုရား SAMBUDDE PAGODA」と書かれている。塔頭が、単独の寺として独立しているようだ。
その前にあった四面仏。
普段なら、このお堂だけで1ページを割いて紹介できるレベルの寺なのだが、特に内部に入ることもなくスルー。
感覚がマヒしている。
しばらく進むと、僧房が並んでいる場所があり、子どもたちが建物から出てきた。
このあたりはどうやら学校形式の僧院になっているようだ。
餅のようなものが干してあった。
食品だとは思うが、なんだかはよくわからなかった。イモかコンニャクを加工した保存食かも知れない。
山上から見えていた最も大きな建物に到着。(境内図⑫地点)
この建物の平面は長方形で、なんと100m×200mの大きさがある。
地表から撮影しても、その大きさはよくわからない。
ドローン撮影でもしたいところだ。
中に入ってみた。
長辺200mの柱列。現実とは思えない神々しさだ。
あまりにも広いので、ここに信徒をすし詰めにして講話をしても後ろの方の人は何がなんだかわからないだろう。
地表が山に向かって傾斜しているため、建物の床にも段差があって緩やかに上るようになっている。
これまでお堂の中では人を見かけなかったが、この建物の中にはところどころに修行僧がくつろいで雑談などをしていた。
柱列の一番奥にある本尊。
その周辺にも過去仏と思われる仏陀が並んでいた。
このアランタヤパゴダ、現時点ではほとんど観光客がいないが、寺好きならば充分に楽しめるポテンシャルを持っていると思う。
目玉は山上伽藍からの景観だが、この巨大伽藍の内部空間も希有な体験ができるので、ぜひ拝観することをお勧めしたい。
(2015年11月28日訪問)
歴史物語ミャンマー 上
単行本 – 2011/11/1
山口 洋一 (著)
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