チャウタロン東寺

2つの独立丘陵の東の山のヒンドゥ寺院。

(ミャンマーモン州ムドン)

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サッセビーチからの帰路に、もう一箇所どうしても立ち寄っておきたい場所があった。

それは、ウィンセントーヤ寝釈迦の入口、ヒメインカネイン村の2つの独立丘陵である。この小山は国道8号線の左右にまるで寝釈迦への門のようにそびえていて、それぞれ山上がお寺になっているのだ。

聞いたところでは、この2つの寺は同じチャウタロンという寺で、東がヒンドゥ教、西が仏教になっているという。

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まず、東のヒンドゥ教寺院のほうから参詣することにする。

山門は左右に控室を持った里門形式。

屋根の上のクジャクが楽しそう。この門を見ただけで「入らねば!」と思ってしまう。

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150mほどの参道を進むとなぜか稲籾が広げてあって、自動車はこここより奥へは入れなかった。

その場所にヒンドゥ教特有の塔門があった。

私がミャンマーでこれまでに見かけたヒンドゥ寺院はほぼこの形式だ。

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すなわち、塔門の後ろに平屋の拝堂、聖室が連続している。左写真で、左側に切れている青く背の高い部分が塔門、青っぽい塔が建っている下が拝堂、白っぽい塔が建っている下が聖室である。

この様式がヒンドゥ教の本場インドでも同様なのか、ミャンマーで変質して土着したものなのかは不勉強のためわからない。

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塔門のまわりでは稲の脱穀と乾燥をしていた。

お寺の子どもたちだろうか。

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お寺の本坊。

学校を兼ねているように見えた。

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学校の前には見慣れない仏像。

額には白い三本の横すじと赤いティラクが塗られている。遠目には日章旗みたいだ。

さて、いよいよお寺の本体の山へ登ろう。登山道には屋根が付いているので、階段で山上まで行けるのだろう。標高は80mくらいはあるか。一息で登ることはできない。きょう一緒に遊びに来ている職場のスタッフも半分くらいは「車でまってるネー」といって付いてこなかった。

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登山口も塔門になっていた。

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門の右側には、さっき見たのと同じ修行僧。

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左側には白い修行僧。いずれも誰なのかまったくわからない。

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山門の中に祀られているケモノ。

犬だろうか?

一つの頭に二つの体が付いている。仏教寺院にあるマヌーシアと似ているが、マヌーシアは上半身は人間、下半身がライオンのキメラ生物。

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このケモノは、上半身と下半身がどちらも動物で、ただ体が二つに分かれているだけである。

しかもよく見ると、脚は片側しか付いていない。

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では登り始めよう。

登山道はすべてコンクリで造られているので、塔門の外で履物を脱いで裸足で階段を登る。

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階段の真ん中にバナナが並べてある。

お供え物だと思われる。

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登って最初の踊り場。

若いスタッフたちはまだ余裕で記念撮影をしている。

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だが階段が急なので、すぐに息が上がる。

「もーだめー、きゅーけー」

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だが階段はまだまだ続くのだった。

上から見おろすとちょっと怖い。足を踏み外したら死ぬかも。

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ほぼ45度はあろうかという鬼のような斜度。

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だいぶ高度が上がってきた。

西寺が見える。

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途中には休憩所がある。

でもこんなところで休んでいたら、なかなか山上へは着かない。

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途中から猿が現れる。

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この寺に住み着いているようで、人間が来ても逃げない。

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やっと山上に到着。

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山上は全体が一つの建物になっていて、建物の外へ出ることはできない。

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本堂はやはり拝堂と聖室からなる造り。

拝堂入口の鉄格子は閉まっていて中はよく見えなかった。

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裏のほうへ回ると聖室の屋根の上の塔が見える。

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聖室の裏側には岩座(いわくら)のような場所がある。

この建物は山頂ではなくて、山頂は岩座なのだ。

だが山頂のほうへ行く道はなかった。

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拝堂の前は展望所になっている。鐘があったので力強く3回ならしてみた。ミャンマーの田舎には騒音がないので音が遠くまで聞こえる。おそらくこの音は下で待っているスタッフにも聞こえたことだろう。

山頂はほかに歩き回る場所もなく、景色を見るにしても西側しか眺望がない。参詣の所要時間は階段の登りに10分下りに10分として、30分あれば充分だろう。

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展望所からは西寺がよく見える。

これからあそこへ行くのだ。

2019年にひとりで再訪して詳細に見て回ったら、東の山には洞窟があることがわかった。

➡ アガスティア洞窟寺

(2014年11月15日訪問)

歴史物語ミャンマー 下

単行本 – 2011/11/1
山口 洋一 (著)

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