石合という字で見かけた石倉。
日本の在来建築では石を建築物の壁に使用することはなかった。その理由はおそらく夏の蒸し暑さを避けるためだろう。電気の力で光も温度もコントロールできる現代とは異なり、自然の力を利用する日本の在来民家は夏を基準に造られてきたのだ。
私が住んでいる徳島県にも何ケ所か石倉がある。その倉を居室にしていたという人から話を聞いことがあるが、石倉は住むには快適ではなかったそうである。
壁に使われている石は形も大きさもそろっているので、畑から出てきた石を集めて造ったというようなものではなく、あきらかに建材として購入したものだと思う。
内部の様子。
窓はまったくないが、軒の部分の隙間から光線が入るので、それほど暗くはない。
現在は家畜用の飼料が納められているが、これほど堅固な蔵を牧草のために造るとは考えられない。
もとは馬か牛を飼っていたのではないだろうか。
(2007年02月13日訪問)
古建築の細部意匠
単行本 – 1972/6/10
近藤 豊 (著)
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いつも机の上に置いてあります。