吉田の常夜灯

石垣の上に秋葉山と金刀比羅宮の常夜灯が並び立つ。

(愛知県西尾市吉良町吉田上浜)

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正覚寺の前の道で見かけた常夜灯。

常夜灯といえば、普通は街道筋にあるか、船のために川筋にあるかするものなのだが、街道筋とも思えない正覚寺の前の道にあった。

石垣の上に2つの常夜灯が載っており、ひとつは金刀比羅宮、ひとつは秋葉宮である。

基壇の石垣は、石積みの作法には沿っているがコンクリでかためてあり、歴史はあまり古くなさそうである。

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そもそもこの周辺「吉田」集落は、一言で言えば漁村である。現在は海岸線から離れてしまったが、古い時代にはおそらく湿地だったろうし、集落の東を流れる矢崎川は今でも漁港の機能を果たしている。したがって、このように常夜灯を高くかかげるのであれば、往来する船のためだったのではないかとも考えられる。

そう思って、どうしてこの場所に常夜灯があったのか、想像を巡らせてみたがどうにも不自然だ。

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ここからは勝手な想像なのだが、この常夜灯はもともと矢崎川の国道の橋の付近にあったのを、国道の拡幅か、川の護岸工事のためにここに移転してきたものではないだろうか。

側面には石段(左写真)が付けられている。往時には矢崎川を上り下りする船の安全を祈願して、毎夜灯がともされたのだろう。

(2001年11月23日訪問)