性福寺

地形の制約はないのに東面している寺。

(徳島県石井町高原平島)

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いわゆる徳鴨線(とっかもせん)の旧道は、市内の蔵本町を起点に、県道30号線を何度か縫いながら鴨島町まで辿ることができる。この道は街道の町並みというのではないが、藍造りが盛んだった農村のなかをゆるゆると続いていて、急ぎでなく西へ向かうときや、西から市内の自宅へ戻るときなどによく利用する。

いまいる高原という集落は、徳鴨線旧道にあって、結婚式場(宴会場)などもある目立つ集落なのだ。その集落に立派なお寺があるのでお参りしていくことにした。

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徳鴨線旧道は古道は東西に走っているが、お寺は東面しているので、街道から参道が繋がっておらず、枝道から入るようになっている。

地割り的には街道から直接入れそうなのだが、あえて東面しているのはなぜなのだろう。

山門は八脚門の二天門。

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伽藍は1985年(昭和60年)に改築されている。

山門は船肘木のシンプルな建物で、一応は仏教建築なのだが、木割りが細く、家大工の仕事のように見える。

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門には多聞天と増長天が祀られている。

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こちらは多聞天。たぶん・・・

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こちらは増長天。たぶん・・・

どちらもけっこう立派な仏像だ。

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山門を入ると右側に鐘堂。

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正面は渡り廊下のようなもので、本堂は左へオフセットしている。

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本堂の右側には庫裏。

庫裏と本堂のあいだには通常は玄関が配置されるが、この寺には玄関がなく渡り廊下で、その奥は中庭になっているようだ。

でも回廊というのでもなく、庫裏をコートハウス風に建てて庭を抱え込んだというような造り。

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本堂の前にはロウソク立て。

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本尊は阿弥陀三尊仏で、石井町指定有形文化財。

もしかして阿弥陀三尊仏を祀るために境内が東面しているのか。

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本堂の内部。

本尊は厨子に入っていて見えなかった。

(2003年04月05日訪問)