
苧ケ瀬池の東2kmほどの場所に、大安寺(だいあんじ)がある。
大安寺へ向かう道は、山を切り開いて作られた新興住宅地の中を進んでいく。途中までは、ほんとにこの奥に寺があるのかと不安になるような道だった。
しかし、道が山にさしかかると、突然にうっそうとした杉林の参道が現れる。

境内は広くて日当たりがよい。三間一戸楼門から薬医門までの参道の左右には白い築地塀が続いていて、格式を感じさせる伽藍だ。
大安寺の境内では今必死に苔を生やそうとしていて、飛び石の上以外を歩くな、と書かれているが、ちょっと日当たり、風通しが良すぎる気がする。この参道の苔も半分以上干からびている感じだ‥‥。

本堂。
境内には他に、鐘楼、鼓楼、庫裏、三十三観音堂、開山堂、書院、玄関。

庫裏。
庫裏の妻の装飾はよくある細かい梁と柱を組み合わせた格子状の意匠でなく、虹梁(こうりょう:アーチ状の梁)と蟇股(かえるまた:釣り鐘状の装飾)を組み合わせたもの。虹梁蟇股という様式は普通なら入母屋屋根の妻の装飾でよく用いられるものである。カーブが多用されるためこのように壁面の面積が広い切妻屋根の場合は、ちょっと物足りない印象を与える。

本堂の裏手の山の上には黄金観音が‥‥。
高さは3mくらいか。
末寺の薬王院から見ると観光客はほとんどいないのだが、血気盛んに伽藍造営を続けている寺であった。
(2000年04月30日訪問)