大日石仏

風化して詳細は不明だが、丸彫り手法の素晴らしい石仏。

(大分県臼杵市前田)

実はシシ権現を見たあと風連鍾乳洞を目指したのだが、すでに時刻は正午を回ってしまっていた。残り時間を考えると無理な気がしてきて、半分くらいまで行ったところで引き返すことにした。きのうも内山観音の前に稲積水中鍾乳洞を予定していたのが、緒方町を2周したため時間切れで行けなかったのだった。どうも、臼杵地方はまだまだ見るものがたくさんあり1~2日では時間不足なのだ。

きのうの豊後大野市では石風呂の傑作が多かったので石風呂にフォーカスして磨崖仏はスルーしてきたが、きょうの臼杵市では磨崖仏の傑作が多いので、逆に磨崖仏にフォーカスして石風呂はスルーすることにしよう。よって残り時間はひたすら磨崖仏巡りに費やす。

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風連鍾乳洞をあきらめて最初に訪れたのが、臼杵市内の大日石仏。

元々は臼杵川左岸の崖線の高いところに位置していたと思われるが、バイパス道路が造られてその道ばたから降りていくような立地になっている。

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臼杵石仏と同じような立派な覆屋があるので場所は迷うことがない。

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覆屋の内部。

仏像は風化でディテールが失われている。案内板によれば中央の3体は菩薩-如来-菩薩ということなので、「観音-阿弥陀-勢至」か「文殊-釈迦-普賢」といった三尊形式のいずれかかな。

三尊の右側にあるのははっきりと不動明王とわかる。その隣の2体は二童子だろう。

案内によれば三尊は平安末期、不動明王は時代が下って鎌倉時代と推定されているという。

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三尊は壁面からかなり浮き出した丸彫り。

中尊の胸あたりに斜めに大きな亀裂が入っている。

これは元々あった層理ではなく、後に地震などで生じた亀裂なのではないか。

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左の菩薩像では頭部を亀裂が通過していて、そんな亀裂のある場所に磨崖仏を彫るとは考えにくい。

こうして見ると、臼杵石仏の国宝群が非常に状態がよく残っていた(復元できる破片が残っていた)ことがわかる。

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文化財の案内板。

(2012年03月26日訪問)