南阿蘇の陸稲畑

生産者は少なくなっているという。

(熊本県南阿蘇村長野)

時刻は16時近くなり、阿蘇山を下ってきょうの宿泊予定の地獄温泉へと向かう。

宿を予約したのが直前だったため夕食付きプランが選択できず、素泊まりプランになってしまっているので、どこかで夕食をとらなければならない。阿蘇山麓の国道325号線まで下ってみたけれど、土地勘がないのでどっち方面に走ったらよいかわからない。ウロウロしているうちに田舎道へと入り込んでしまった。いまにして思えば、どうしてそんな細い道へ入ったのかよく思い出せない。

だがその道を走っていて、道ばたに気になるものがあった。それが下の写真だ。

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お気付きになったであろうか?

道ばたに植えられている作目が陸稲(おかぼ)なのだ。つまり畑で作るコメ。道ばたで陸稲が植わってたら、とりあえず写真は撮るよね?

車を停めて写真を撮っていたら、この畑をやっている老夫婦が出てきたので話を伺った。

この陸稲は(もち)で、自家用だけではなく知人らに販売している。1kmくらい離れたところの農家から種もみを分けてもらって、この10年くらい栽培してきた。

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現在ではこのあたりで陸稲をやっている人はこの農家と、種もみを分けてくれた農家くらいしかなく、珍しくなっているそうだ。

水田は減反で自由に作付けできないが、陸稲は畑なので政策の対象外となり自由にできるから育てているという。

陸稲のモチは水稲のモチよりも粘り気が少なく香ばしい味だという。喉に詰まりにくいので老人に合っているのではと話していた。

陸稲は普通の作物のように播種すると、芽生え直後に他のイネ科雑草と区別しにくく除草が大変なんじゃないかという気がするので、田植え的なことをするのかと思って聞いてみると、堆肥と種を混ぜた土団子のようなものを作って畑に直播きするという。あとは水稲用のスタムという除草剤で管理すればよいということだった。

道に迷ったおかげでとてもよいものを見せてもらえた。

その後、国道を逆に走り、ストロングボスというレストランで夕食を食べ宿へ向かったのだった。

(2011年08月08日訪問)